カトリック教会において2025年は「聖年」とされ、この年の恵みにあずかるための一つの実践として、聖地(エルサレム等)やローマ、そして各司教区指定の聖堂への巡礼が勧められています。そのテーマとして「希望の巡礼者」としての信仰者の生き方が教皇によって呼びかけられています。そのような年の始まりにあたり、「巡礼」ということをAMORで初めてテーマに掲げてみます。
カトリック教会の中では古代、中世、近世・近代発祥のさまざまな巡礼地がありますが、その起源や由来、巡礼の盛衰の中には、時代ごとのキリスト教と国家・社会との関係も映し出されています。もちろん、巡礼という行動はキリスト教だけのものではなく、キリスト教以前にも、他の諸宗教にも広範囲に見られます。さらに最近は、ドラマやアニメの舞台になった場所が“聖地”とされ、それらを巡る旅も流行しています。世界文化遺産となっている地域への観光・見学旅行も外見としては宗教的な巡礼とよく似ていると言えます。
こうした広い意味での旅=遍路や参詣、歴史的記念地巡りの観光や見学などと巡礼は多角的に結びつき、関連し合うようになっています。しかも、国境を越えた旅の実施、インターネットによる体験交流もますます豊かになっています。さまざまな思いから行われるそのような「旅」を視野に入れると、巡礼というテーマは人間の志向性に対するとても幅広くまた深い洞察にもいざなってくれそうです。
今回は入門的な情報収集、事例紹介を多めにしていますが、「あなたにとっての巡礼」や「思い出の巡礼」などの体験エッセイは常時募集します。随時、ご紹介できれば、と思っていますので、よろしくお願いたします。
巡礼の約束(再掲)