フレデリック・J・ボームガートナー著『閉ざされた扉の向こうで―教皇選挙の歴史』

日本にも久方ぶりに教皇選挙権をもつ枢機卿が誕生した。教皇選挙の歴史を物語る本を紹介しよう。2000年以降に刊行されたキリスト教の歴史・聖書・霊性に関する洋書をセレクトして紹介してきたこのシリーズも最終回。異例の長編だが、 Continue reading


キム・パフェンロス著『ユダ・失われた弟子のイメージ』

イエスを裏切った弟子として有名なユダ。最後の晩餐の絵でも、その裏切りが予告されるとあって、その場でも注目される登場人物である。しかし、その存在、意識、思いなどどのように解釈されるべきであるか、ユダ像について果敢な挑んだ著 Continue reading


ディヴィッド・ノートン著『文学としての英訳聖書の歴史』

聖書の新しい日本語訳が2018年暮れに登場するという。『聖書-日本聖書協会 共同訳』となるらしい。現代日本語訳聖書もずいぶん増えてくることになるが、この機会に、聖書の国語訳というものがその国の歴史の中でどのような意味をも Continue reading


ヴァージニア・ニクソン著『中世末期におけるマリアの母・聖アンナ』

聖家族の絵画にもしばしば登場するマリアの母アンナは聖書外典で登場する人物だが、熱心な崇敬が向けられ、美術にも盛んに描かれるようになった。聖アンナ像を生み出した中世末期の人々の信仰心に目を向けた書を紹介しよう: ヴァージニ Continue reading


ウールリック・L・レーナー『カトリック啓蒙主義:ある地球規模の運動の忘れられた歴史』

「近代」と「カトリシズム」とはしばしば対決の構図ないし「カトリシズムの近代に対する自己防衛」という見方で語られることが多い。しかし近代を象徴する啓蒙主義的精神はカトリック世界にも確実に胎動していた。そんな新鮮な歴史展望を Continue reading


ユルゲン・ハーバマス/ヨーゼフ・ラッツィンガー著『世俗化の弁証法:理性と宗教について』

名誉教皇ベネディクト16世ことヨーゼフ・ラッツィンガーはどの立場から評価するにしても、第2バチカン公会議後の時代に足跡を残した神学者であることは間違いない。教皇として彼が発信したメッセージの背後にある精神を覗かれる一書の Continue reading


ジョン・W・オマリー著『第2バチカン公会議で起こったのは何か』

前々回紹介した『トリエント――公会議で何が起こったか?』の著者オマリーが2008年に発表した第2バチカン公会議についての書を紹介する。日本では、司教団によって『第二バチカン公会議公文書』の改訂公式訳が2013年に出ており Continue reading


ヘレン・K・ボンド著『ポンティオ・ピラト:歴史と解釈における』と『カイアファ:ローマの友、イエスの裁判官?』

福音書が物語るイエスの受難史の中で、大きく立ちはだかるローマとユダヤそれぞれ体制の代表者総督ピラトと大祭司カイアファ。この二人の人物の歴史的実像はどのようなものなのだろうか。特にピラトは使徒信条を唱える際に繰り返し名を告 Continue reading