特集89 井上洋治神父没後10年


井上洋治という人を知っていますか?

井上洋治――名は「ようじ」と読みます――は、10年前に亡くなったカトリック教会の司祭です。司祭は「神父」と呼ばれるので、「井上洋治神父さん」として親しまれる方です。東京大司教区所属の教区司祭ですが、その活躍は全国、そして世界に及んでいます。『日本とイエスの顔』(1976年)をはじめ、その多くの著作には「イエス」の名前が出てきます。イエスのことを日本人に伝えようと生涯尽くした方といえますが、それは、イエス・キリストのことや、聖書、福音、そしてキリスト教全体を日本人の心でとらえ直そうとする壮大なミッションへの挑戦の生涯でもありました。ギリシア・ローマの文化伝統を背景にキリスト教をとらえていった古代教会の教父にちなんで、“日本の教父”と呼ばれることもあります。ヨーロッパ人の宣教師で伝えられ、ヨーロッパの神学が移植されて育ってきた日本の教会と神学及び神学教育に対して、神父の仕事は、根底からの問い直しを図るもので、そのメッセージは、今でも訴えるものを持ち続けています。

井上神父は、1986年に「日本人の心の琴線に触れる“イエスの顔”をさがして、一人でも多くの日本の人たちに、イエスの福音のよろこびを知ってほしい、そう願って」(趣意書より)、「風(プネウマ)の家」を開設しました。その活動は後進たちによって着実に脈々と続けられ、展開されています。今、読書界で知られる哲学者の山本芳久氏や批評家の若松英輔氏も「風の家」で薫陶を受けた方々です。おそらく、1970年代以降に洗礼を受けた人、司祭になった人、哲学や神学、文学に携わる人は、直接・間接に井上洋治神父の影響下にあるといえるのではないでしょうか。

このウエブマガジン「AMOR 陽だまりの丘」も、人脈として、また活動の趣旨においてはっきりと、井上神父の影響圏の中にあります。この3月、「風の家」やその他の関係から、井上神父没後10年を記念する種々のイベントが行われていますが、AMORでもささやかながら、直接・間接に井上神父とかかわりのある人々に寄稿をお願いしました。この一包の特集を、井上神父の生涯と業績に敬意を込めてインターネット世界の片隅に供えたいと思います。同時代を生きた人々、Z世代と呼ばれる人々、そしてこれから生まれてくる世代にとって、井上神父によって開かれた思索と霊性の世界を知るための一つの糸口、窓口となってゆければ幸いです。

 

『福音宣教』のインタビューを受ける井上神父(1998年)

井上洋治神父の生涯と著作

プネウマを受け留めて

井上神父のキリスト教文化内開花の歩みとその展開――東方キリスト教への着目と「自然」の霊性

井上洋治師の霊性的な思索について――その思想と著作の意義

詩人井上洋治神父を師と仰いで

懐かしさと、満ち足りなさと、突き抜けたさと~~井上洋治神父とのふれあいの思い出~~

井上洋治神父没後10年記念 南無アッバの祈り(イベントの案内はこちら

 


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