特集95 高齢化社会での多世代交流


祖父母とのかかわりを顧みて

日本では1966年に「敬老の日」が制定されて9月15日の国民の祝日として長く親しまれてきました。2003年から9月第3月曜日という規定になっていますが、9月という月は、秋の彼岸とともに「敬老の日」によっても特色あるものとなっています。その月にあたり、今回は高齢者・祖父母がテーマに掲げられています。カトリック教会には、2021年に7月第4日曜日の祈願日として制定された「祖父母と高齢者のための世界祈願日」(別稿参照)がありますが、これも、日本では今年から「敬老の日」の前の9月第3日曜日になったというのも、このテーマに関連する話題です。

今年9月16日(敬老の日)の新聞では、65歳以上の高齢者が3625万人おり、総人口の29.3%を占め、80歳以上の人が1290万人、総人口の10.4%になると報じられています(総務省9月15日公表データによる)。3人に1人が高齢者、10人に1人が80歳以上のという日本の状況です。高齢者総数も、総人口に対する割合も、2000年からの上昇ぶりがとくに目立ちます。

この主題について思案を重ねるうちに、世の中でいわれる「超高齢化社会」のこれからとか「老人福祉」に関する問題などとして取り組まれているのとは、違うアプローチはないだろうか、と問われるようになりました。AMORを運営する編集委員やその友も多くは60代以上、そこに20代のメンバーも集うという立派に二世代(あるいは二・五世代)チームです。「高齢者」をテーマにしようとするメンバーがすでに高齢者であるという事実に対して正直にならないと……と、この現象を客観的に社会的に他者的に論じることではなく、家族関係の中での高齢者の姿、彼・彼らをめぐる人間関係の様子に目を向けてみようという話になっていきました。「祖父母」と「孫」、「親」と「子」という関係性の中で、老年世代と若年世代の心の有り様を見ていけたら、と思うようになったのです。

家族、親戚という縁の中から生まれる高齢者と若い世代との出会いと交流は、どちらの側からも深く一考に値します。そこでの心のやりとりの、世相や文化の反映ぶりなど、興味が尽きないものです。このようなアプローチですから、寄稿の呼びかけも「祖父母」をキーワードにして、それ自体、多世代に向かっていくものとなりました。自分自身の人生において、「おじいちゃん・おばあちゃん」とのかかわりの思い出、今あるかかわりの姿を顧みることから何か新しい発見があるのではないか、それによって、新たに人の世の機微と深みに触れていけるのではないか――そんな期待をこめての特集です。聖書や教会の関心の有り様についても触れつつ、このテーマはこれからも展開していきたいものです。興味をもっていただけると嬉しいです。

 

祖父母とはどういう存在か

少年時代の神

祖父母と高齢者のために祈る教会

祖父母と孫を描いた映画

聖書に見る高齢者

余白のパンセ 12 隣のおばあちゃん(再掲)

 


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