X年後Ⅲ サイレント・フォールアウト——乳歯が語る大陸汚染


中村恵里香(ライター)

世界で唯一の被爆国は日本と言われていますが、なぜ、原爆は必要なのでしょうか。抑止力になると政治家たちは言いますが、持てば使いたくなるのが兵器ではないでしょうか。その兵器は地球を破壊するほどの威力があるとも言われています。そんな兵器をつくるためには、必ず実験が必要です。その実験によって、また被害者が生まれることをまざまざと見せつけられたドキュメンタリー映画が、『X年後』と『X年後Ⅱ』です。そして今回第3弾として『X年後Ⅲ サイレント・フォールアウト——乳歯が語る大陸汚染』がクラウドファンディングによって完成し、今各地で自主上映がなされています。   伊東英朗監督は、南海テレビのディレクターとして太平洋核実験によって日本のマグロ漁師が被爆している事実に出会い、前作2作を作り上げました。その取材中に、アメリカのネバダ州で実施された核実験によってアメリカ大陸の放射能汚染を知ることになります。

この作品は、「第1章予兆」、「第2章グランドゼロ」、「第3章乳歯」、「第4章サイレントヒーロー」、「第5章サイレント・フォールアウト」の全5章からなっています。72年前、バスター作戦によって行われた核実験は、アメリカ大陸を汚染し、その事実をアメリカの人たちが全く知らないというのです。「伝えなければいけない、伝え続けなければならない。深まる使命感を胸に、核実験に関わり被曝した元軍人を取材するため、2020年、イギリスを訪ねました。取材を重ねると、20歳前後の若者たちだった彼らの多くが亡くなっていた事実を知りました。」と監督は語っています。

60年前、核実験によるアメリカ大陸の放射能汚染を実証しようとしたのは、子どもを守りたいという思いから立ち上がった女性たちです。1959から2年半で6万1000本の乳歯を収集、調査し、1961年「サイエンス」に調査論文として投稿します。彼女たちの行動は、そこで終わっていません。1971年の間に子どもの乳歯30万本を収集しています。その行動は、ケネディ大統領によって大気圏内核実験禁止条約としてかたちになります。しかし、アメリカの人たちはこの事実をほとんど知らないというのです。

この映画を観て、原爆の恐ろしさが胸にしみてきます。原爆はあってはならないものではないかということを強く感じることができました。

しかし、伊東監督は、「反核、反原発ではなく、放射能を正しく怖がること、そして子どもたちの生命を守ろうとした女性たちがいること、その事実を伝えたい」と語ります。そして、今、アメリカの人たちにその事実を伝えたいとアメリカでの上映を目指しています。「僕もメディアの一人です。でも一人の人間でもあります。誰か見てくれている人がいる、と感じられることが勇気につながります。弱い人間だけど、一筋の光があれば、なんとか前に進む事ができるのです」といいます。一人でも多くの方に、この作品を観ていただき、事実を知ることで、真の平和とは何か、そして自分たちの進むべき道とは何かを考える一助になるのではないかと思います。

 

※『サイレント・フォールアウト』のチラシはこちらからご覧ください。

※『サイレント・フォールアウト』の自主上映について詳しく知りたい方は、、xyears.info@gmail.comまでご連絡ください。

 

▼『放射能を浴びたX年後』

 

▼『放射能を浴びたX年後Ⅱ』(サムネイルが見えない場合があるかもしれませんが、再生ボタンをクリックすると、動画は再生されます)

 

▼『放射能を浴びたX年後Ⅲ サイレント・フォールアウト』

 


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