特集94 原爆に対するわたしたちの思いを


時を貫く呼びかけに

広島・長崎への原爆投下、多くの方の犠牲の出来事から79年を迎えている2024年8月。この出来事を巡る思いの「今」をことばにする特集です。

あの出来事から79年、直接の体験を持っている方々の年齢は高じていき、いかに次世代にその体験を伝え、その思いや叫びを継承していくかが、あらゆる証言活動、伝承活動において喫緊の課題となっています。直接、それを体験していない人々、「戦後」に生まれたすべての世代にとって、人類に向けての原爆使用の事実とその歴史の真実を知ろうとすること、研究やメディアを通じて知らせようとしているものに積極的に出会おうとすること、受けとめようとすることは、本当に今、必要な、大切なことです。一つの歴史の風化の危機が語られますが、それ以上に、戦争を思い起こすことが時の巡りの中で去来するだけの習慣のようになってしまうことも残念なことだからです。

時の巡りという宇宙の法則は、その一時の一連の行いでかけがえのない命が失われてしまったこと、その取り返しのつかなさに向き合うことから心を逸らせてしまいかねません。その“誘惑”から心を引き離し、核兵器使用の恐ろしさが過去のものではなく、今ある危機であり、これからものしかかる危機であるという現実に目と心と頭を向けていくのは、もしかすると並大抵のことではないのかもしれません。キリスト者は、それが自力ではできないこと、神に寄り頼むことなしにできないものと感じています。

「人を殺してはならない」という神の掟を、心の楔(くさび)とも支えともしつつ、祈りは、原爆投下とそれによる犠牲の事実を忘れずに、時を貫いて、これからへの警鐘として伝え続けるための命綱です。絶望に沈まないための、希望の息を吹き返すための命綱です。なお続くウクライナ、ガザなどでの危機がこの祈りを今こそ強めなくてはならないということを語り掛けている2024年夏――あの戦争と原爆投下の歴史に対して、すべての世代、特に若い世代の人たちが「向き合おう」とする意欲と共感力に期待しつつ、そのさまざまな思いを聞き合っていきましょう。

 

どうして戦争しちゃいけないの?

永井隆の霊性~その人生と願い

歴史の関係者になっていくということ

被爆地広島と長崎の平和祈念式典

「平和旬間」(8月6日~15日)というメッセージ~~日本のカトリック教会が続ける原爆体験からの平和への取り組み~~

原爆を描いた二つの映画

 


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