コロナ禍の「恵み」?


山田千鶴(カロンデレットの聖ヨゼフ修道会)

コロナ、コロナに明け暮れて、はや2年が過ぎようとしています。外出自粛、移動制限など不自由であったことをあげればきりがありません。多くの方が亡くなり、まだまだ苦しい生活を送られている方も多いと思います。そんな中でも感じられた「恵み」があったのだろうか? 私は2020年、ロサンゼルスで過ごしました。そんなあたりから振り返ってみたいと思います。

 

1、地球とのつながり

ありきたりかもしれませんが、私は「つながり」ということをあげたいと思います。最近ではあまり言われなくなりましたが、2020年、各国でロックダウンが始まった頃、「人間の工業・商業活動が停止したために地球環境が良くなった」ということが、よく報じられました。1機の飛行機も飛んでいない空、自動車がほとんど走っていないフリーウエイ。いつも排気ガスで霞んでいた空が真っ青に澄み、遠くの山がくっきり見える。今までに見たこともなかった鳥が私たちの家の庭に訪ねてきたこともありました。人間が少し行動を制限することで、自然がこんなに生き生きとするのだ、と思い知らされました。

 

2、人とのつながり

ロックダウン中によく見た歩道に書かれた絵。

アメリカのロックダウンは日本のものよりもずっと厳しかったように思います。老人など感染リスクの高い人たちは、特にセンシティブになっていました。

そんな中、近くの方たちがお隣の老人家族のために買い物に行くということがよくみられました。私たちのシスターたちの多くは街の中のアパートに3~4人で住み、ミニストリーに出かけているのですが、高齢化もあり70~80代だけで住んでいる共同体もあります。そのような家にも近所の方が声をかけてくださいました。もちろん、そこにシスターが住んでいるとはご近所の方は知りません。「ピンポーン」とドアベルが鳴り「隣に住んでいる〇〇です。明日、買い物にいきますが、何か必要なものがあればついでに買ってきますよ」と声をかけてくれるのです。それがきっかけで、ご近所の方たちとのつながりが深まりました。

また、私たちのマザーハウスは老齢のシスターたちの居住施設が併設されており、彼女たちを守るため立ち入り禁止となりました。外部との接触が断たれた彼女たちを慰めるために、何度かカーキャラバンをおこないました。「I LOVE YOU!」「WE AER ONE」などと書かれたプラカードを作り、自動車にデコレーションをしてクラクションを鳴らしながら、ゆっくりマザーハウスの周りを数周するのです。特に、ハロウインの時は仮装し、ソーシャルディスタンスを保ちながら、踊ってマザーハウスの周りを回りました。マザーハウスの中から、外から、お互いに手を振りながら、このひとときのつながりをエンジョイしました。

 

3、インターネットでのつながり

この間に格段に普及したのは、何といってインターネット経由による“集まり”だったでしょう。今や、誰でも1度は利用したことがあるのではないでしょうか。昨年3月の私の初誓願式もロックダウンのため、本当に少人数しか集まれませんでしたが、Zoomを介してアメリカ中からシスターたちがお祝いしてくれました。インターネットでのつながりがなければ会えなかった人たちです。また、その頃から週に1度、Zoomでの祈りの集いが始まりました。これは今も続いています。おかげで日本に帰ってきてからもこの祈りに参加し、アメリカのシスターたちと顔をあわせることができています。

新型コロナウイルスの流行によって、今まで当たり前にできていたことが規制され、何気なくあったつながりが分断されてきました。だからこそ、意識的に作り出していく必要があり、恵みであったことが実感されるのかもしれません。来年はどんな年になるでしょう? みなさんの上に、豊かな祝福がありますように。

 


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