長崎ミサに参加して


むらかみあつみ(カトリック宇部教会信徒)

長崎教皇ミサの振り返りをしました。(長いですがわかち合いたくて)

11月24日朝、土砂降り時々雷。長崎市内は交通量も少なく貸切バスはスムーズに走る。爆心地公園に近づくと長蛇の列が見えた。パパ様が献花、公園に入りきれない大勢の信徒が外から公園を取り囲み心を合わせて祈っている姿だった。ずぶ濡れになりながら。その厳粛さが伝わってきて車窓から頭を下げた。

野外の長崎県営球場に着き入場の行列に並ぶ。「永井隆記念館館長も案内係で立ってたよ」「福江からのフェリーが満杯で臨時便が出てるってよ」近くの人の声が聞こえる。同行の潜伏キリシタン末裔の女性はお母さまの形見の着物を着て「母と一緒にミサに与って親孝行する」と言っている。その着物もびしょ濡れである。セキュリティチェックはあったものの人の良さそうな担当の方々がどうぞどうぞと通してくださる。顔を見てわかる、この人達は長崎の信徒だ。長崎教区挙げて、このミサを待ち望み準備してくださったんだなあと感激、アナログっぽい対応に親しみが沸く。

席についてミサまで4時間、上下カッパに長靴、カバンをビニールで包み完全防備で雨を防いでいたが雷まで鳴り、ここで打たれたら死ぬかも、でもパパ様がいるから祝福されて天に上げてもらえる、それも恵みだと思うと怖くなくなった。

あまりに雨が酷くおにぎりも出せないので、屋根のある場所を探して歩くと物販グッス売り場があった。アイドルのコンサートみたいだと思いながらのぞくと、なんと我が片柳主任司祭のパパ様日めくりカレンダーがバカ売れしているではありませんか。宇部教会でいつでも安く買える恩恵(しかもサイン付)に与っている恵みを実感した。(信者ではない人にプレゼントするんですけどね、わかりやすいから)

降り続ける雨、近くの人から「雨が止むように祈りましょう。皆の祈りを合わせるときっと雨が止みます」との呼びかけ、まさかと笑っていたがお昼ごろ本当に雨が止み自分の不信仰を恥じた。携帯を見ると博多からの特急電車「かもめ」が人身事故でストップ、ミサに間に合わないかもしれないという広島の信徒の方の書き込みが。近くの人に知らせ間に合うように共に祈る。人身事故の人の為にも祈る。ミサ開始に間に合わなかったが特別ゲートから入れてもらえたそうだ。さすが長崎、情が厚い。

ミサが近づくにつれ空が明るくなり晴れ間がのぞいた。司祭の入場が続く。こんなにたくさんの司祭団を初めて見た。日本にこれだけ司祭が増えてペトロ岐部様や中浦ジュリアン様がこの光景を見たら泣いて喜ぶだろうな、殉教者の方々もどれほどうれしいだろうと思うと、この雨が殉教者たちのうれし涙のような気がしてきた。そしてなんとフランシスコ教皇まで長崎に来たんだよ。天の皆さん、喜んで。いや、天の皆さんのとりなしのおかげでこの恩恵に与れているんだね。ありがとう。時代は違ってもぬるい信仰者でも仲間に入れてください。

突然「キャー」という歓声と共にパパ様入場、慈しみ深い笑顔で幼子を次々に祝福される。ああ、私も赤ちゃんに戻ってパパ様から祝福のキスを受けたい…。

祭壇には被爆のマリア像、長崎教区のお願いをバチカンが了承して置かれたと聞いた。原子力が命を阻む危険の認識が一致しているから。

答唱詩編が印象深かった。近くの人が「お告げのシスターだ」と言われていたが、歌声に全く自我がなく、自然と湧き出るような声が空に広がっていく。こんな答唱、初めて聴いた。天使の歌声ってこんな感じ? YouTubeで聞き返しても現場で生で聴くのとは違う。何か特別の賜物を持っておられるように感じた。

パパ様の説教をモニターの字幕で見て、後でじっくり味わおうと思ったが、その場で響いたのは「今からでも始められる」(だったと思う)、今からでもできることをやりたいと思った。

退堂の時には足を引きずりながら、でも笑顔で去って行かれた。その痛々しさに会場はシーン。

パパ様、この足でよくぞ日本に来てくださった。平和の巡礼者として、しもべのしもべとしてご自分の全てを捧げ生きる姿に勇気と力をいただきました。私も平和の道具になりたい、下に下に降りて行って奉仕し仕える人になりたいと心から思った。今からでも始められる。

パパ様が去った後、空を見上げると雲一つない晴天、眩しいほどの日差し、汗ばむほどの陽気。なんだろう、この不思議さ。まるで殉教者たちのうれし涙が晴れやかな喜びの笑顔に変わったように感じた。

※写真は未洗者(嫁が信者)の知り合いがくださいました。彼は入場カードに宝くじを入れ、これが当たったら信じると言っていました(怒)。しかし、パパ様の祝福はきっと彼にも届いていることでしょう。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。

 


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