琉球王国とは?


今回のテーマは「沖縄とキリスト教」、そこにはキリスト教の日本伝来、日本への布教の歴史と「沖縄」そのものの歴史への問いが重なり合っています。問いを開き、文献をたどっていこうとするとき、そこは不思議な飛び石のような世界でもあります:

 

【素朴な質問1】

「現在の沖縄県は、昔は日本とは異なる琉球王国という独立国だったそうですが?」……キリスト教伝来の頃の沖縄がどのような国・地域だったのか、現在の米軍基地問題の深い背景ともなる、沖縄と日本のそもそもの関係を学ぶ必要が強く感じられます。かいつまんでいうと、どのようなものだったのでしょうか。「琉球王国」とは?……

 

【探してみました】

そんな問いかけをもって探してみるとズバリ『琉球王朝のすべて』(河出書房新社。2012年初版、2015年新装改訂版)という本に出会いました。「知れば知るほど面白い」と銘打つシリーズの一冊。著者は沖縄の歴史・文化に詳しい上里隆史氏(うえざと・たかふみ、1976年生まれ)、喜納大作氏(きな・だいさく、1984年生まれ)。キリスト教伝来の頃(キリシタン時代から幕末からの再宣教の頃を含め)の沖縄は琉球王朝の時代でした。この王朝の歴史・体制・文化に絞って解説してくれる本書はこんな構成です。

「ようこそ琉球王国へ」
「第1章 王宮・首里城の秘密」
「第2章 琉球王国の政府『首里王府』のしくみ」
「第3章 国王と士族、庶民のくらし」
「第4章 琉球の神様と文化、風俗のふしぎ」
「王朝の終焉と波乱の歴史」

上里隆史・喜納大作『知れば知るほどおもしろい 琉球王朝のすべて:新装改訂版』(河出書房新社、2015年)

その解説によれば、何万年も狩猟採集の生活が続けられていた沖縄諸島、そこに12世紀頃から本格的な農耕が始まり、やがて「按司」(あじ)と呼ばれる地域リーダーが登場。彼らが「グスク」(城)を築き、勢力争いをする時代が日本史でいえば鎌倉時代から室町時代初期まで続いていきます。

中でも、沖縄本島の北部・中部・南部にほぼ重なる「北山」「中山」「南山」の三つの勢力が有力となり「三山」時代とも呼ばれるようです。15世紀初め頃のこと。1429年、中山王(第一尚氏王朝)の第2代、尚巴志(しょうはし)が三山を統一し、琉球王国が成立します。しかし、権力基盤が弱く、1470年尚氏の家臣がクーデターによって第二尚氏王朝を始めます。グスク時代から第二尚氏王朝の初めまでは中国明朝を中心とする冊封・朝貢体制に加わり、交易が盛んとなります。

ところが1609年、第二尚氏王朝、第七代の尚寧王のとき、薩摩藩の侵攻を受け、以後、薩摩藩の支配下に置かれます。それでも独立国の体裁と中国との関係は保たれていくことなります。琉球史研究では、グスク時代から薩摩藩侵攻までを「古琉球」時代、1609年から1879年の明治政府による沖縄県設置までを「近世琉球」時代と呼ぶのだそうです。

この「近世琉球」時代が現在の沖縄文化の開花期だということです。そして、琉球がキリスト教と出会うのもこの時代でした。

(AMOR編集部)

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