自宅で家族と共に楽しむ音楽


松橋輝子(東京藝術大学博士課程、桜美林大学非常勤講師)

芸術の楽しみ方は実に様々な形がある。

私の音楽人生の中で、欠かせないのは、姉妹での演奏である。3歳上の姉とは、小さいころから2人でよく演奏してきた。自宅の一室、学校のイベント、友人宅、コンサート会場など、カジュアルなものからフォーマルなものまで、演奏する機会は多かった。

音楽を生み出すことには、多くのプロセスがある。曲選び、個人の練習、リハーサル、そして本番。このプロセスを一緒に踏めることはとても幸せなことだ。姉妹といえども、作品へのアプローチ、練習方法はそれぞれに異なる。リハーサルはまさに、それを共有しあい、議論を重ね、よりよい音楽を作り出そうとする共同作業である。小さいころからの習慣で、リハーサルの主導権は基本的には姉が握るが、それが私には刺激となる。

左から姉、私(2002年Thanksgiving、ボストンにて)

医者として忙しい毎日を過ごす姉との共演機会は今では少なくなってしまったが、それでも今年も夏休みには一緒に音楽を楽しんだ。わずかしか練習時間が取れない中、二人で音楽を奏でていると、幼少期から一緒にヴァイオリン演奏を楽しんだ思い出がよみがえってきた。また、家庭内での演奏だからこそ、近くにいる家族、親戚にも聞いて楽しんでもらうことができた。

筆者が主催するヴァイオリン発表会の講師演奏で、姉に助演を依頼(2020年3月 早稲田奉仕園スコットホールにて)

今年演奏した作品は、ベルギー出身のヴァイオリニスト、作曲家、シャルル=オーギュスト・ド・ベリオ(1802~1870)によるものである。超絶技巧と古典的な優雅さを兼ね備えた彼の演奏技術は、19世紀の最先端を行くものとして、当時から絶賛された。重音奏法や様々な弓のアーティキュレーションなど、どちらのパートにもヴァイオリンの技巧がちりばめられているが、ベリオならではの甘いメロディもふんだんに使われる。(下記リンクから。2021年8月 山梨県、別荘にて)

 

最初は両親に促されて始めたヴァイオリンのお稽古だったが、今では2人が共有できる喜びの源となった。私の音楽人生の原点ともいえる姉妹での演奏、そして家庭内での音楽をこれからも大事にしていきたい。

 


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