“コロナ”が気づかせてくれたこと


羽鳥裕一(バーディー羽鳥)

2020年2月、思いもよらぬ禍が全世界を襲いました。そしてその時以降それまでの社会秩序が突然変わってしまいました。

私はジャズボーカルグループを率いて10年以上定期的に演奏活動を続けてまいりました。
ライブハウス定期出演、コンサート参加、パーティー出演などを始め高齢者施設訪問演奏なども積極的に展開してまいりました。
このコロナという厄介なウイルスの出現によりその全てにストップがかかりました。世の中のあらゆる分野においてもそうであるように……

(コロナウイルス感染防止緊急事態宣言で中止になった幻のイベント
代官山TSUTAYA Tサイトでのイベントトレイラー 止む無く中止)

所謂“三密を避ける”“不要不急の外出を控える”という大方針に沿って考え出されたものとして“リモートワーク”“リモート会議”が当たり前となり、それぞれ自宅からネットワーク経由で仕事をするという合理的な仕組みが実践されている訳であります。この方法はある意味ではウイルス感染予防という以前に近未来的なビジネスの流れでもあったことでしょう。

しかし仕事の内容によっては向き不向きがあります。
相手とリアルに対面しなければ進め辛い仕事、目の動き、息使い、声の出し方などなどリモートでは読み切れるものではありません。
営業職などでは特に要求されるのがそれを察知する能力であります。
カタログさえ渡しておけば商品を買って貰えるわけでは無いのであります。
この世の中は必ずしも1+1=2という理屈で動いているとは思いません。

さて私のいる世界にこれを置き換えますと“リモート配信”“無観客演奏”などという試みを良く聞く訳であります。音楽の世界で“リモートワーク”をするという事です。

音楽を職業としている場合はこれをやらざるを得ないかも知れません。
さもなければ生活の糧を得られ無い訳であります。
勿論プロであればそれなりの美しい映像とレコーディングレベルのバランスの取れた音源確保のうえですが。これを我々レベルがやるかどうか?です。

中には一部やっている人達もいますが私はネガティブです。
何故って? 全く楽しくないからであります。
そもそも音楽(演劇やスポーツの世界などもそうでしょうが)は観客の皆様の前でパフォーマンスする事で自らのテンションを高め、観客の皆様はそれを感じ取って楽しむという相乗効果の上に成り立っているものです。

無観客? 誰もいない客席に向かって何を表現すれば良いのでしょうか?
やはり感情の入れ方が違いますね。壁に向かってテニスの練習をしているようなものでしょう。

コロナが気づかせてくれたもの……“人は自分一人では幸せになれない”ということ、フェイストゥーフェイスは欠かせないということ、マスクをしたままではいけないということ……でしょうか?

この様な無味乾燥な状態がいつまでも続きますとストレスが溜まる一方です。いつ終わるともない自粛生活、人と人との繋がりを絶った毎日、1 日も早く終息することを願うばかりです。

 

羽鳥裕一(バーディー羽鳥)
ジャズシンガー
ハレルヤ・シンガーズ
バーディーズ・ミュージック&エンタテインメント代表

 


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