太陽の家


日本映画の中で、もっとも多く扱われているテーマは何だろうと考えると、それは「家族」ではないでしょうか。数年前に話題になった『万引き家族』もテーマは擬似家族でした。以前にご紹介した日本映画の中にも家族を扱ったものは多くあります。改めて家族とはなにか。家族愛とは何かを考えさせられる映画が間もなく公開されます。今回ご紹介する映画は、長渕剛氏が20年ぶりに主演を務める『太陽の家』です。

凄腕の大工の棟梁・川崎信吾(長渕剛)は、ちょっと強面ですが、やんちゃで人情に厚い男です。職人気質の男ですが、しっかりものの女房・美沙希(飯島直子)と娘の柑奈(山口まゆ)とともに幸せに暮らしています。弟子の入江たちと現場で仕事に励んでいるところに、保険会社の営業ウーマン池田芽衣(広末涼子)が通りかかり、声をかけます。ちょっと信吾好みの女性だったことから近くの彼女の家に行き、生命保険に入ることになります。てっきり独身だと思いきや、芽衣には龍生(潤浩)という一人息子がいました。シングルマザーによって育てられ、父親を知らない龍生は内向的な少年でした。男気溢れる信吾は、龍生が気になり、「おれが男にしてやる!」とばかりに、がんばってしまいます。

最初は、警戒していた龍生も、徐々に心を開き、信吾についていくようになります。そんな時、芽衣に問題が起こります。なんと病に冒され、入院が必要になるのです。さまざまなことに干渉してくる信吾をうるさく思い始めていた芽衣ですが、龍生をどこにも預けるところのない芽衣は、息子に心配をかけたくない一心で、信吾にも本当のことを明かさず、出張と称して、信吾に龍生を預けることにします。

事前の相談のないまま家に龍生を連れてくることになってしまいます。妻・美沙希も当惑しますが、何ごとも夫を信じる姿勢は変わらず、受け入れますが、面白くないのは、娘の柑奈です。そんな状況にも関わらず、信吾は芽衣と龍生のために家を作ろうと決心し、兄貴と慕う整形外科医の吉成利治(柄本明)のもとを訪れ、土地を手に入れます。なぜここまでしなければならないのか納得のできないまま話は進んでいってしまい、自分の位置が見極められない柑奈は、信吾の一番弟子・高史(瑛太)のもとに家出をしてしまいます。高史自身、信吾に対して口には出せない思いを抱えていました。

さて、ここからは観てのお楽しみです。信吾は何を思っていたのか、柑奈の心の落ち着きどころは、そして芽衣の病状は。結末はほっこりとする物語になっています。

本当の家族とはなにか。人と人との愛はどんなものなのか。そして本当の優しさとは何かがこの映画には描かれています。

長渕剛ファン必見といってもいいような作品ですが、不器用で、一本気な、今ではあまり見られなくなった男の人間模様を長渕剛は彼らしい演技で貫いています。そしてそれを支える俳優陣もすばらしいものがあります。私は決して長渕剛ファンではありません。でもこの作品は、長渕剛だからこそ演じ切れた作品のように思えました。

(中村恵里香、ライター)

1月17日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
公式ホームページ:https://taiyonoie-movie.jp/

スタッフ
監督:権野元/脚本:江良至/製作:喜本孝/プロデューサー:遠藤茂行、飛田野和彦/制作:楽映舎
キャスト
長渕剛、飯島直子、山口まゆ、潤浩、広末涼子、瑛太
2020年製作/123分/G/日本制作:太陽の家製作委員会/配給:REGENTS


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