「プラハのモーツアルト——誘惑のマスカレード」


モーツアルトという作曲家はあまりに有名で、知らないという人はいないのではないかと思います。ところが、モーツアルトの書いたオペラ作品を映画化されたものは結構あるのですが、モーツアルトを主人公にした映画は存外に少ないのをご存じでしょうか。

今回、モーツアルト自身を主人公にした映画が日本で公開されるというので、すごく楽しみに試写会場に出向きました。

この映画、モーツアルトが「フィガロの結婚」を書き上げ、その後「ドンジョバンニ」を書き上げるまでの1年間を描いた作品です。

1787年、プラハでは、モーツアルトの新作『フィガロの結婚』の話題で持ちきりでした。上流階級の人々は、連日ノスティッツ劇場での上演に詰めかけ、歓喜し、その従僕やメイドまでその一説を口ずさむほどの熱狂振りでした。劇場のパトロン、名門のサロカ男爵(ジェームズ・ピュアフォイ)の邸宅で宴会が開かれ、その場でモーツアルトが話題に上ります。自然とモーツアルトを招待しようということになります。各自が寄付を行い、残りを男爵が持つということになります。

その頃、モーツアルト(アナイリン・バーナード)は失意のどん底にいます。息子ヨハンを病気で失い、妻はその傷を癒やすために温泉へ療養に出かけたため、ウイーンに一人残されていました。孤独に苦しむ彼にとって、プラハで活躍するオペラ歌手ヨゼファ・ドウシェク夫人(サマンサ・パークス)邸に逗留しないかという誘いは、何よりも嬉しいものでした。プラハに赴いたモーツアルトは、『フィガロの結婚』のリハーサルと、新作『ドンジョバンニ』の作曲に取りかかります。ところが、『フィガロの結婚』のケルビーの役の歌手が突然役を降り、ドイツに帰ってしまいます。サロカ男爵の推薦で代役に決まったのがスザンナ・ルプタック(モーフィーッド・クラーク)です。彼女の美貌と溢れるばかりの才能に魅了されるモーツアルトとスザンナ、スザンナをわが物にと狙うサロカ男爵、モーツアルトを亡き者にしたいザルツブルク大司教から派遣されたノフィの暗躍が物語を盛り上げます。

© TRIO IN PRAGUE 2016.

この2人の運命は、そして、『ドンジョバンニ』はどのような展開の物語になるのか人間関係が複雑に絡み合っていきます。

そしてこの物語の一つの魅力は、プラハの町並みです。百塔の都と称されるプラハの美しい街並みが存分に映画を盛り上げています。要所要所に配される『フィガロの結婚』の音楽も映画の魅力となっています。オペラファン、クラッシク好きな方はもちろん、オペラは……、クラッシックは……と思っている方もきっとこの映画を観ればその音楽に魅了されるのではないかと思います。ぜひ映画館で見て下さい。

中村恵里香(ライター)

 

監督・脚本:ジョン・スティーブンソン/脚本:ブライアン・アシュビー、ヘレン・クレア・クロマティ/制作:ヒュー・ペナルット・ジョーンズ、ハンナ・リーダー/美術:ルチャーナ・アリギ 衣装:パム・ダウン

出演:アナイリン・バーナード、モーフィッド・クラーク、ジェームズ・ピュアフォイ、サマンサ・バークス

2016年/UK・チェコ合作/103分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/原題:Interlude in Prague/字幕翻訳:チオキ真理/

配給:熱帯美術館提供:熱帯美術館、ミッドシップ

公式ホームページ:Mozart-movie.jp

 

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