「フラッグ・デイ 父を想う日」


今家族の絆が希薄な時代といわれています。ただ、コロナによって、家族が家にいる時間が多かったこの23年近くで、家族の絆の大切さが見直されている時代ではないかと想っています。そんな家族の絆について、そして娘にとって父とは、を考えさせられる実話を元にした作品がまもなく降下されますので、ご紹介します。

1992年6月、アメリカ最大級の贋札事件の犯人ジョン・ヴォーゲルショーン・ペン)が、裁判を前にして逃亡します。2200万ドルもの精巧な贋札を印刷し、最長で75 年の懲役という彼の罪を初めて知った娘のジェニファーディラン・ペン)は、それでも「私は父が大好き」とつぶやきます。

ジェニファーが子供の頃、父は家族の前に現れては、また消えるという生活を繰り返していました。1975 年の夏、突然家族の前に現れた父は、農場を購入し、母のパティキャサリン・ウィニック)と弟のニックの3 人暮らしで荒れ果てていた家を修復し始めます。母に笑顔が戻り、平凡だった日々が見違えるほど驚きの瞬間に変わり、幸せな家族のような暮らしが続きます。

しかし、それも束の間の出来事でした。返せない借金で買った農場の資材

が次々と届くにつれ、明るかった父の心は暗闇へと沈み、また姿を消す日が訪れます。借金を押し付けられた母は酒に逃げ、家事も子供たちの世話もできなくなり、伯父のベックジョシュ・ブローリン)が、ジェニファーとニックを父のもとへと連れて行きます。

 父の新しい恋人も巻き込み、またお祭り騒ぎのような毎日が始まります。ジェニファーの心は浮きたちますが、何度くり返してもやはり父との人生はうたかたで、泡のごとく消えていくのが運命でした。再び借金から逃げるために、父の手で母の元へと送り帰されたジェニファーとニックは、「国旗制定日フラッグ・デイ)に生まれた男はクソだ」と自分の息子をなじる祖母の言葉に胸を痛めます。

 1981年、高校生になったジェニファーは、母親の再婚相手とうまくいかず、ニックホッパー・ジャック・ペン)を置いて家を出る決意をします。行く当ては父のところしかありません。またしても借金を抱えていた父でしたが、自分を頼ってくれたジェニファーのために、普通のセールスの仕事を見つけ真面目に働き始めます。

 今年もフラッグ・デイがやって来ました。ジェニファーは「私たちは似た者同士。どんな道に進もうと、私は永遠に支え続ける」というメッセージを添えて、父に二人の大切な“想い出”をプレゼントします。

父は感激のあまり涙を流し、「世界が爆発しようとも、お前の側にいる」と娘を抱きしめます。「何もかも順調よ。パパは変わりつつある」と、ジェニファーがニックに喜びの手紙を書いたその日、父はあまりにも衝撃的な行動に走ります。

その出来事から再び父と別れざるを得なかったジェニファーは、ジャーナリストとしての道を歩み始めます。ここからはぜひ作品をご覧ください。父ジョンは、どのような衝撃的な行動をしたのか、父とジェニファーの関係は、なぜ大事件を犯した父に対して「私は父が大好き」とつぶやくのか……。家族の絆は強くたくましいものだと私は想います。父と娘の関係もそうあればと想います。この親子の姿は、普通ではないかもしれませんが、ある意味どこにもでもいる親子の姿かもしれません。

12月23日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

公式サイト:flagday.jp

スタッフ

監督:ショーン・ペン/脚本:ジェズ・バターワース&ジョン=ヘンリー・バターワース/原作:ジェニファー・ヴォーゲル「FLIM-FLAM MAN」/撮影:ダニー・モダ

キャスト:ディラン・ペン、ショーン・ペン、ジョシュ・ブローリン、ホッパー・ジャック・ペン、キャサリン・ウィニック


2021
年/アメリカ/112分/原題:FLAG DAY/日本語字幕:松浦美奈/配給:ショウゲート


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