さまざまなテーマを巡って展開しているAMORの特集、今月は、マグダラのマリアを取り上げています。イエス・キリストという方を信じ、そのあとに従っていくキリスト者の信仰の在り方を、どのようなテーマの根底においても問いかけているこのサイトですが、時には、直接にイエス・キリストを、そしてイエスと出会った人々にも焦点を当てていこう、そんなテーマを加えていこうという声が集まりました。これからは聖書に登場する人々、教会の歴史を築き、彩ってきたさまざまな人々(聖人に限らず)を折々にクローズアップしていきたいと思っています。
その初めの一歩を刻むのがマグダラのマリアです。使徒ペトロや使徒パウロが話題に上がったなか、マグダラのマリアがテーマとなったのは、もちろん7月22日が彼女の祝日であることが一つのきっかけでもあります。しかし、本特集の各記事がそれぞれに言及するように、マグダラのマリアはイエスの復活の最初の証人であり、「最初の使徒」とも呼ばれる存在であることが何よりも重要です。マグダラのマリアという名の女性について福音書が記すことはごくわずかですが、それでも、その人柄と素性について多くの想像力がかきたてられてきました。そして、とりわけ、復活したイエスと彼女の出会いの次第は、わたしたちの中で絶えず感銘と感動、それに関するメディテーション、そして芸術的インスピレーションを呼び起こし続けています。
マグダラのマリアを巡り、文学、伝説、崇敬祭、絵画、映画など、西洋のキリスト教には、さまざまな信心とイメージの系譜が重なり合っているようです。その上にある現代のキリスト教は、これまでとは違う見方やあり方へと変容を遂げつつあるともいわれますが、それはおそらくなお旅の途上のことでしょう。そうした旅の中で、わたしたち自身の関心を育てていきたいと思います。そのためにも、福音書に刻まれているイエスとマグダラのマリアとの出会いの中に、今のわたしたちの生き方と信仰への思いを重ねる“心の証言”に耳を傾けてみましょう。一人ひとりの心の中にも、新たな出会いが生まれますように……。
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「ノリ・メ・タンゲレ(わたしに触れるな)」――マグダラのマリアから「神様の呼びかけに気付く」ことを学ぶ
イエスと出会った女性たちというテーマ~~試金石となった著作~~