皆、誰しも給食のお世話になったことがありますよね。そして給食に対する思いでもあることでしょう。私にとって給食の思い出はあまりいいものではありません。決しておいしいとも思えないものでした。そんな給食ですが、愛してやまないにもかかわらず、決して好きという姿を見せたくない一人の教師と、給食を愛してやまない一人の生徒を中心にした給食がテーマの映画が公開されます。
時は1984年、常節中学校の教育目標は食育です。校歌に食育が触れられているほど、食育にこだわっている学校です。その学校で、給食マニアなのに、自分ではそれを周囲に見せていないと思っている教師・甘利田幸男(市原隼人)は、いかに給食をおいしくいただくかが励みになっています。ところが、ある日、常節市教育委員会の職員・鏑木(直江喜一)が校長・渡田(酒向芳)を訪ねてきます。その席に同席するように言われた甘利田は、給食がなくなることを知らされます。甘利田は、少なからずショックを受けますが、まだ発表できない状況の中、給食をいただく毎日が続きます。
一方、甘利田と同じように給食にこだわりを感じている生徒がいました。その生徒の名は、神野ゴウ(佐藤大志)。密かに神野の食べ方に注目していた甘利田は、その奇想天外な食べ方に触発されます。
クラスで係を決める段になって、給食係に推薦された神野は、給食係を辞退します。その理由を問われると、神野は、1年生でありながら、生徒会会長に立候補するというのです。その公約は給食改革。まもなく給食が終わりを告げるのですが、未だ発表前の状況で立候補を取りやめさせることもできません。さて、この後は見てのお楽しみです。給食は本当に終了してしまうのか、生徒会会長選挙はどうなるのか、ぜひ映画館に足を運んでみてください。
単なる給食バトルの映画のように見えますが、そこには学校という閉ざされた世界の中での人間関係がうごめいています。食へのこだわりを見せる甘利田と神野の食べ方も楽しみの一つでもあります。食育という言葉が誰でも知っているようになった今だからこそ、給食の意味も問われている映画でもあります。でも、そんな重苦しいものではなく、とにかく笑える映画でもあります。そして最後にはなぜかほんわかした気分になる作品です。
(中村恵里香、ライター)
2020年3月6日(金)よりユナイテッド・シネマ豊洲ほかにて全国公開
公式ホームページ:https://oishi-kyushoku.com/
スタッフ
監督:綾部真弥/脚本:永森裕二、綾部真弥/撮影:小島悠介/照明:大庭敦基/録音:井家眞紀夫/美術:伊藤悟/フードスタイリスト:松井あやこ
キャスト
市原隼人、武田玲奈、佐藤大志、嶋花、辻本達規、水野勝、直江喜一、ドロンズ石本、いとうまい子、酒向芳
ロケーション協力:比企フィルムコミッション/埼玉県川島町/埼玉県川島町教育委員会
主題歌:「君の花」 作詞作曲:こんどうたかふみ 歌:松本大輝(AMG MUSIC)
制作プロダクション:メディアンド
企画:AMGエンタテインメント
製作:「おいしい給食」製作委員会
配給:AMGエンタテインメント/イオンエンターテイメント
2020年/カラー/ビスタ/5.1CH/102分 Ⓒ2020「おいしい給食」製作委員会
配給:AMGエンタテインメント/イオンエンターテイメント
Ⓒ2020「おいしい給食」製作委員会