神さまの絵の具箱 10


末森英機(ミュージシャン)

天にあっては、真理の砦(とりで)をひとり守るカミ。地にあっては、真実の囲いをひとり編むカミ。私たち以外、だれひとり住みたがらない、このようなわびしいところ、わたしたちのからだに。玄関番のように立たれ。天の優しい風向きが変わらぬあいだを備えに満たし、時もまだ存在せぬうちに、存在していたかもしれぬように、軽やかに、花咲く梢に鳥たちを歌わせるカミ。アナタのみこころが、わたしたちに行なわれますように。同じ傷を引き受けます。アナタの好きなところに、どうかわたしたちのすみかを決めることができますように。幸せに、みずから創(つく)りしものも苦しめもされる。悩ませもする。おさな子が母の胸に子守唄と溶け合い。愛の長い一日を、あの水に泳いでは、また陽に浴び。星座の空には、星をあおいで、くちずけすべき塵(ちり)を見いだし、草のうえに寝転ぶことのように。そして、是が非でも欲しいなら、その相手を、たとえそれが毒蛇であっても抱き取ってしまえるように。叫べそのときにこそ「わたしになしたまえ。主のみこころのままに。わがカミよ、わたしはまったくおんミのものです」!
幸せを運ぶ使者にしっかりと告げたまう、フクイン。そして、最期に消えいる、ランプのともしびこそ、いかにも明るく。わたしたちだけを照らしているけれど。それは、いっさい、わたしたちだけを、ろうそくの芯(しん)のように、頼りにしてともってはいても、おられるカミは、消えゆくだけの炎ではけっしてない。このヒトを見よ。カミはこよなく人間的でありつづけようとされたではなかったか?黒い羊の子の泣き声がするから。その小さい口をせいいっぱい開けて、乳歯にできたムシバを、見せようとする子どものようでいられたら。
「あなたたちはキリストの体であり、また一人一人はその部分です」(コリントⅠ 12:27)


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