バレンタインデー


中村恵里香(ライター)

日本では、バレンタインデーというと、片思いの女性が好きな人にチョコレートを送り、愛を打ち明ける日とされています。では、他の国ではどのようにされているのかとこれまで何度も疑問に思っていましたが、調べる機会もないままでした。

今回、ちょっと調べてみました。女性から男性に愛を打ち明けるためにチョコレートを送るのは、実は日本と韓国だけだそうです。では、他の国はどうなっているのかというと、アメリカやヨーロッパではよく男性が女性に花を贈ります。それは結婚記念日だったり、誕生日だったりしますが、バレンタインデーも同じで、愛情表現として男性が女性に贈り物、特に花を贈るそうです。そんな風景を表現した映画があります。アメリカ映画の『バレンタインデー』をご紹介します。

ロサンゼルスで働く人たち15名のバレンタインデーの1日をコミカルに描いた群像劇です。

次々に出てくる人物を紹介していると話が込み入ってきますので、主な人物の関係を整理してご紹介します。

リード(アシュトン・カッチャー)は、花屋シエナ・ブーケで働いています。恋人のモーリー(ジェシカ・アルバ)に指輪と共にプロポーズをするとOKをもらい、有頂天です。

リードの友人で、小学校教師をしているジュリア(ジェニファー・ガーナー)から、ハリソン(パトリック・デンプシー)という男性とつきあっていて、幸せと聞いていましたが、その日、何も知らないハリソンがシエナ・ブーケにやってきて、ジュリア宛の花束と妻宛の花束を購入します。

理想の男性と思っていたハリソンが実は既婚者と聞いたジュリアは、半信半疑のまま彼の勤務する病院に出向き、既婚者であることを確認し、驚きを禁じ得ません。その様子に同情した看護師と教え子の父親が経営するレストランに協力してもらい、ハリソンと直接対峙することにします。

スタイリッシュなビジネスマン、ホールデン(ブラッドリー・クーパー)は、飛行機の席が隣り合った美しい軍人ケイト(ジュリア・ロバーツ)は行く先で恋人が待っているということで意気投合します。

結婚50年を迎えてなお、仲むつまじい老夫婦エドガー(ヘクター・エリゾンド)とエステル(シャーリー・マクレーン)は互いにプレゼントを贈りあい、幸せな朝を迎えていました。でも2人の孫であるエディソンの心配をしています。いつもバレンタインの日には、映画を楽しむ2人ですが、その日の朝、妻・エステルが思いもよらぬ告白を始めます。

ポーラ(クイーン・ラティファ)が営むエージェント会社で、郵便係をしているジェイソン(トファー・グレイス)と電話受付係のリズ(アン・ハサウェイ)は、どこにでもいるようなカップルにみえますが、リズは貧しくてアダルトボイスで副業をしています。ボスのポーラには見抜かれており、ジェイソンには知られたくないと思っていたのですが、バレンタインデーの日にアダルトボイスの仕事をしている声をジェイソンに聞かれてしまいます。

グレース(エマ・ロバーツ)とアレックスは高校生カップルです。2人はバレンタインデーに親が留守なので、初体験を済ませようと計画します。ところがいざ始めようとするところで、母親が帰ってきてしまいます。グレースは、子守のバイト先・エドガー家で初体験について相談しますが、それによって夫妻に波風を立ててしまいます。

エドガー家のエディソンは、母親と離れて暮らす小学生です。シエナ・ブーケで花を買い、ある人にバラの花束を贈ろうと計画し、注文するのですが、配達が遅れると聞いて家を抜け出し、シエナ・ブーケに向かいます。グレースが心配し、エディソンを探し出し、一緒に行こうといいますが、エディソンは、自分の手で渡すと言います。

その頃、エディソンの母親は、息子に会うために飛行機に乗っていました。

アメフト選手のショーン(エリック・デイン)は、年齢的なこともあり、成績不振となり、引退の危機に瀕していました。代理人のポーラはビジネスを優先的に考えています。マネージャーのカーラ(ジェシカ・ビール)は、ショーンのことよりも毎年行っている「バレンタイン大嫌い」のイベントの参加者が今年はゼロであることに焦りを感じていました。

そんな2人の状況に身の処し方が決まらないショーンは、悩みが解決しないことに焦り、誤ってシエナ・ブーケの配達バンに追突してしまいます。配達員のアルフォンス(ジョージ・ロペス)の言葉にインスピレーションを得てカーラに連絡を取ろうとします。

スポーツキャスターのケルヴィン(ジェイミー・フォックス)は、バレンタインデーが嫌いなのにバレンタインの取材に行かされる羽目になります。引退かと騒がれているアメフト選手、ショーンのインタビューを取るため、カーラと会います。カーラはバレンタインが嫌いと言うより恐れていて、身体に異常を来すほどでした。2人は、バレンタインデーが嫌いな理由は、「愛されない私」、「愛を知らない自分」と考えていることだと気がつきます。

それぞれの問題はどのように解決するのか、愛とは何か、さまざまに群像劇の中から浮かび上がってきます。オンラインでもこの映画は観られるようです。バレンタインデーの日に改めて愛とは何かを考えてみてはいかがでしょうか。

 


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