日本では、“女性が男性にチョコレートをプレゼントし、愛を告白する日”として普及してきたバレンタインデー……。バレンタインとは何かを調べると、どうもキリスト教の聖人らしい……2月14日に向けてチョコレートの宣伝がいや高まる季節の風物詩も、コロナ禍のもとでは、例年の賑わいもなくっているかのようです。そんな浮き沈みも見せているこのバレンタインという現代型習俗に、眼差しを向けてみたいと思いました。
バレンタインデーのバレンタインって何? 誰? そして、これは何の祭り? と気になってきて、ふと思い出されたのが「聖バレンタインデーの虐殺」という、アル・カポネ時代のシカゴのギャングの抗争事件(1929年2月14日)。「聖」と付くのは、キリスト教の聖人、とすると、それはキリスト教の祭りなのか。クリスマスや最近人気のハロウィンがキリスト教由来でありつつ、一般にも知られる季節の祭りであり、イベントであるように、同じように一大イベントと日本でも一般に知られる祭りであるように、また、最近盛んなハロウィンのように、やはりキリスト教の祭の伝来と変容のパターン? この祭は、ほんとうに宗教性があるのか、やはり商売目的(チョコレート販売)のイベントなのか?
こんなあやふやな疑問や印象を解きほぐそうと、今回の特集は、この不可思議な習俗の系譜、そして、ヴァレンティウスという聖人について考えてみます。日本的なバレンタインデーの現実と変遷を知るためには、じっさいの個人の思い出も貴重な証言となるでしょう。また、映画や音楽(ポップス)での取り上げ方にも目を向けたいところです。少しでも考察の窓を開いていきましょう。
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▼ミニ企画:バレンタインの思い出