あき
ある秋空がまぶしい晴れた朝。
いっぴきのやもりくんが日課の散歩をしていました。
(歩いていると目の前に倒れた枯れ木の大木が)
するとしろいぼうしのかわいい子がちょこんと枯れ木に座っていました。
「ぼうや。 きみはだれ?」
「ぼくはきのこくん」
「ほらこの木を見てごらん。 おとなになったらこんなにおおきくなるんだ」と
大木を指さし。 「きのこどもだからきのこくん」
「へぇ そうなんだぁ」「すごいねぇ」とやもりくん。
「こんど君が大きくなったころ会えたらうれしいね」
歩き出したやもりはそういいながら口笛をふいて森の中に消えていきました。
ときが過ぎ1年くらいたったころ、やもりは森の中であのしろい帽子をみつけました。
「きのこくん。お久しぶり」
「あれっ やもりさん。 お久しぶり」
「きのこくんはいつも白い帽子かぶってるんだね」「すぐわかったよ」
やもりくんは笑顔で声をかけました。
「みつけられちゃったぁ~」 きのこくんは笑いながら答えました。
「あれっ でもへんだなぁ」
「なにがへん?」
「だってきのこくんは、大きな木になるんじゃなかったっけ」
「そうなんだよ」「おおきな木になるつもりで、ごはんをたくさんたべたんだけど」
ちょっとがっかりしたようなきのこくん。
でもね。 きのこくんは笑顔で答えました。
「ぼくは一番になって大きな木になるつもりだったんだけど」
「もっといいことがあったんだ」
「いいことってな~に」
「ぼくね。 一生懸命食べてみんなと楽しくくらしたんだぁ」
「いまがとってもしあわせ」と笑顔のきのこくん。
「ほらっ」
やもりくんはあたりを見回してみると~
一面にしろいぼうしがみえました。
「一番にはなれなかったけど、ぼくには仲間ができたんだ」
秋の日差しの中、きのこくんの仲間がきらきら光っていました。
おわり