小島さやか(学び舎トーカ〈オルタナティブスクール〉副代表)
今の「学校」に疲弊している子どもたちがいます。多様な学びが必要とされている現代社会において、学校教育の現場では、いまだに画一的な教育を行い、時代遅れの仕組みが残っているところがあります。そんな「学校」に疑問をもち、自ら「不登校」を選ぶ子どもたちが増えています。何のために校則があり、何のためにテストを行うのか、なぜみんな一緒に行動しないといけないの、なぜ分かる授業をずっと聞いてないといけないの、そもそも何で学校に行かないといけないの……子どもたちの純粋な疑問に、私たち大人は答えることができるでしょうか。
私は約10年間、カトリック学校で教員として勤務し、その後「学び舎トーカ」というオルタナティブスクール(公立でも私立でもない「新しい選択肢の学校」)を夫婦で世田谷区中町に立ち上げました。トーカでは、子どもたち自身が一日のスケジュールを決定し、自らの疑問や関心に基づいて活動します。たとえば料理を友だちと一緒につくって試行錯誤する子や、読書や動画編集に没頭する子、カードゲームに熱中する子など、各々が自らやりたい活動を選び決定していきます。子どもたちはこれらの活動を通して、「自分主体で生きる」ということを経験していきます。そして一日の終わりには、今日自分が行ったこと、感じたこと、今日の感謝を伝えたい人、などを振り返って言語化します。ただやりたいことをやって終わりではなく、振り返ることによって自己理解を深めることにもつながります。さらにトーカでは「先生」や「生徒」は存在しません。年齢関係なくお互いを名前・ニックネームで呼び合い(ちなみに私は子どもたちから「さっちゃん」と呼ばれています)、大人も子ども皆同じ立場で同じ権利をもち、話し合います。
トーカを見学してくださった方からよく、「不登校の子が多いと聞きましたが、元気な子が多くてびっくりしました」という感想をいただきます。「不登校」という言葉には「学校に行くことが正しい」という前提や、「行けないことは悪いこと」というマイナスなイメージが含まれていると感じます。日本におけるフリースクールやオルタナティブスクールの地位は、海外と比較してもまだまだ確立されているとは言い難い状況です。学校に行けない代わりに行く場所ではなく、「学校もいいけど、わたしはトーカを選ぶ!」と自信をもって言える子どもが増えたなら、未来の社会はより可能性に溢れたものとなるはずです。学びの多様性が叫ばれている今、「学校」だけが唯一の選択ではないのです。あえて「不登校」を選ぶ子どもの選択を、私たち大人がまずは受け入れていく必要があります。自分が本当にやりたいことは何か、自分のワクワクする気持ちに正直に向き合って生き、その過程で出会う人を幸せにしていく、トーカに通うこどもたちは、そんな生き方をしています。子どもたちに自分の人生を「自分ごと」として生きていく大切さを伝えるためには、まず、子どもと接する自分自身がそう在りたいと思っています。
スクールの見学、自分の「好き」を子どもたちと共有したい方、いつでもご連絡お待ちしています。
- 活動日時:月~木曜日 9:45~14:30(土日は子ども・地域食堂等のイベントを開催しています。)
- HP:https://touka-group.jp/
- メールアドレス:s-kojima@touka-group.jp