特集85 トルコの歴史と現在に心を開くと


ひとつの国を知るということ

ムスタファ・ケマル・アタチュルク(1930年撮影)

AMORでは、アジアの国々に目を向けることで、日本の国の足元を見つめよう、とくにキリスト教の存在位置にも注目しつつ……ということを企画の一つの柱にしてきました。そんななか、早くから興味を引いたのがトルコです。今年2月の大地震がやはりきっかけでした。そして、トルコにとって今年が記念すべき年であることがわかってきました。それはオスマン帝国に代わり、ムスタファ・ケマル・アタチュルクの指導力のもと、トルコ共和国が建国されてからちょうど100年という節目の年なのです。5月には、国の方向性を左右する大統領選が行われ、現職のエルドアン大統領が再選されています。ロシアとウクライナの戦争が始まってから独自の路線を歩んでいることで、ますます世界中の注視の的となっています。

そんな現代トルコは、歴史をさかのぼると、古代・中世を通じてキリスト教の歴史の重要な舞台でもありました。キリスト教史の観点からも重要な地域であり、東西文明、東西文化の交流点にあるトルコという国は、相当に広大な文明史的観点に立たなければ、そのユニークさは見えてこないような存在です。ユーラシアの東と西の端に位置する、日本にとって、それは、自らの位置を見直すためにも、大切な存在ではないかと思われます。

このような存在のトルコについて、一民間ウエブマガジンがどのようにアプローチできるのか、大海を前に立ちすくみそうな課題ですが、小さくとも特集として取り組んでみます。

構成される一つは、わたしたちの知人である日本在住のトルコ人へのインタビューです。そのプロフィールや、市井で生きているままの思いは、さまざまに、日常感覚からの近づきの窓となってくれるでしょう。次に、「キリスト教史」の展望から、この地域(小アジアとも呼ばれたアナトリア)がいかに注目すべき歴史地帯であるかが鮮やかに概観されます。歴史知識の組み直しの大切さにも気づかせてくれるこの記事も大いに参考にしていただきたいものです。最後に、今年NHKが放送したトルコに関するドキュメンタリー番組から得られたものや感想のリポートを試みています。目を向けてみたい、知りたい、という姿勢になれば、テレビ番組は重要な情報提供源となります。多くの人の共同作業の成果をそのままにしておくのはもったいなく、率直なレスポンスをすることも大切なのでは、と気づかされているところです。さらに、映画と料理のレシピの紹介を通して、今のトルコの姿にも目を向けてみます。

さまざまな情報をキャッチしていただければ幸いです。

 

アンタルヤの景色

東京でトルコ・レストランを経営するアザトさんへのインタビュー

アナトリアの教会史

トルコ関連ドキュメンタリーから

トルコ映画

トルコ料理:ヨーウルトゥル ウスパナクとムカサ

 

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