小沼寿男(宗教科教員)
はじめに、上記のイエスとトマスの場面を生徒が順番にひとり1節ずつ音読します。この場面の最後にイエス様が「見ないのに信じる人は、幸いである」と私たちに伝えていることを確認し、「見ないのに信じるということ」は、どういうことであるのか、考えていきます。
「信仰とは、望んでいる事柄を確信し、見えない事実を確認することです」と使徒パウロが語っている、ヘブライ人への手紙11章1節を読みます。この聖書箇所の「信仰」という言葉を「信じること」に置き換えて考えていきます。そして、「信じることとは、見えない事実を確認すること」、つまり、「信じることとは、見えないものを見えるようにすること」であると確認していきます。
いくつかの写真を見せて、そのものの奥にある背景やつながり(目に見えないもの)について考えていきます。
クイズ① 紙の写真 → 例)木、森、雨、雲、太陽、製紙業者など
クイズ② 魚の写真 → 例)海、プランクトン、漁師、運送業者、調理師など
クイズ③ 子どもが怒っているような写真 → 例)お腹がすいている、喧嘩しているなど
クイズ④ 募金箱の写真 → 例)募金先の苦しんでいる方々、医療従事者など
「見えないものを見えるようにすること」とは、想像力や思いやりによって、相手のことや周りのことを考えることであり、そのものの奥にある背景やつながりを大切にすることです。そして、そのことは「祈ること」でもあります。
次に、「目に見えないけれど、存在するもの」を生徒に考えさせる時間を取ります。生徒全員が重複しないように、一人ひとつ以上、黒板に挙げさせていきます。神様、愛、希望、親切、友情、明日などの言葉が、黒板一面に書かれていきます。
最後に、下記の聖句を読み、授業の感想を書く時間を取ります。
わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。
(コリントの信徒への手紙二 4章18節)
私たちは、目に見えないものに囲まれて生きており、そして、「大切なものは目に見えない」(『星の王子さま』サン=テグジュペリ著より)ということを生徒たちに気づかせていきます。