「みえないものをみえるように」~目に見えないけれど、存在するものって何だろう~


小沼寿男(宗教科教員)

イエスとトマス(ヨハネによる福音書20章24~29節)
十二人の一人でディディモと呼ばれるトマスは、イエスが来られたとき、彼らと一緒にいなかった。そこで、ほかの弟子たちが、「わたしたちは主を見た」と言うと、トマスは言った。「あの方の手に釘の跡を見、この指を釘跡に入れてみなければ、また、この手をそのわき腹に入れてみなければ、わたしは決して信じない。」さて八日の後、弟子たちはまた家の中におり、トマスも一緒にいた。戸にはみな鍵がかけてあったのに、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。それから、トマスに言われた。「あなたの指をここに当てて、わたしの手を見なさい。また、あなたの手を伸ばし、わたしのわき腹に入れなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい。」トマスは答えて、「わたしの主、わたしの神よ」と言った。イエスはトマスに言われた。「わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである。」

はじめに、上記のイエスとトマスの場面を生徒が順番にひとり1節ずつ音読します。この場面の最後にイエス様が「見ないのに信じる人は、幸いである」と私たちに伝えていることを確認し、「見ないのに信じるということ」は、どういうことであるのか、考えていきます。

 

信じることとは、「見えないものを見えるようにすること」

カラヴァッジョ『聖トマスの不信』(1601~02年  ポツダム サン・スーシ宮殿所蔵)

「信仰とは、望んでいる事柄を確信し、見えない事実を確認することです」と使徒パウロが語っている、ヘブライ人への手紙11章1節を読みます。この聖書箇所の「信仰」という言葉を「信じること」に置き換えて考えていきます。そして、「信じることとは、見えない事実を確認すること」、つまり、「信じることとは、見えないものを見えるようにすること」であると確認していきます。

 

見えないものを見えるようにするクイズ

いくつかの写真を見せて、そのものの奥にある背景やつながり(目に見えないもの)について考えていきます。

クイズ① 紙の写真 → 例)木、森、雨、雲、太陽、製紙業者など

クイズ② 魚の写真 → 例)海、プランクトン、漁師、運送業者、調理師など

クイズ③ 子どもが怒っているような写真 → 例)お腹がすいている、喧嘩しているなど

クイズ④ 募金箱の写真 → 例)募金先の苦しんでいる方々、医療従事者など

「見えないものを見えるようにすること」とは、想像力や思いやりによって、相手のことや周りのことを考えることであり、そのものの奥にある背景やつながりを大切にすることです。そして、そのことは「祈ること」でもあります。

 

私たちの身の回りにある「目に見えないけれど、存在するもの」

次に、「目に見えないけれど、存在するもの」を生徒に考えさせる時間を取ります。生徒全員が重複しないように、一人ひとつ以上、黒板に挙げさせていきます。神様、愛、希望、親切、友情、明日などの言葉が、黒板一面に書かれていきます。

 

大切なものは目に見えない

最後に、下記の聖句を読み、授業の感想を書く時間を取ります。

わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。

(コリントの信徒への手紙二 4章18節)

私たちは、目に見えないものに囲まれて生きており、そして、「大切なものは目に見えない」(『星の王子さま』サン=テグジュペリ著より)ということを生徒たちに気づかせていきます。

 


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