2024年、大きな震災と痛ましい空港事故で明けたこの年の最初の特集のテーマとして、昨年末からわたしたちの心に立ち現れてきていたのは、教皇フランシスコです。2022年製作の映画『旅するローマ教皇』が昨秋、公開され、そこに活写されていた、10年間の教皇の姿勢とことばは、宣伝文言通り、確かに心揺さぶるものを含んでいたと思います。2019年11月の来日の映像が思い起こされた秋でもありました。
着任の年(2013年)に使徒的勧告『福音の喜び』で、その思いを力強く告げ始めたフランシスコ教皇の発表文書は、続々と増えて今や膨大になり、訪問先の諸国・地域もさらに増え続けています。とくに2022年から2023年にかけては、この教皇の働きの大きな実りが見られた時期でもありました。念願の教皇庁機構改革が実現し、今の教皇、そして教会の使命がよりよく体現されるようになりました。とりわけ人々のいのちに関わるケアに取り組む新しい部署(省)の統合と整備は重要です。
この特集では、教皇の11年間の事跡を概観しつつ、パパ・フランシスコのメッセージを受けとめる若い世代の思索と行動の様子を記していきます。とくに「シノドス」=「共に歩む」を普遍的なキーワードとしている今の教会についてさまざまに提言している司祭のお話なども紹介していきます。
2023年12月25日のクリスマス・メッセージで、教皇は、イスラエルとパレスチナ、シリア、イエメン、レバノン、ウクライナ、アルメニアとアゼルバイジャン、サヘル地域、アフリカの角、スーダン、カメルーン、コンゴ民主共和国、南スーダン、朝鮮半島、アメリカ大陸のことを具体的に挙げて祈っていました。能登半島地震のためにもメッセージを寄せられた教皇の姿勢とことばは、暗闇に脅かされる世界にとっての灯、頼りの綱に違いないと思います。その教皇から教わることを心に留めながら、今年のAMORの歩みを始めたいと思います。今年もよろしくお願いします。
現代世界に向き合うカトリック教会の姿勢――教皇フランシスコによる教皇庁機構改革に示されるもの
呼びかけに対する一人ひとりの応え方―教皇フランシスコ『喜びに喜べ』を手がかりに―(前編)
呼びかけに対する一人ひとりの応え方―教皇フランシスコ『喜びに喜べ』を手がかりに―(後編)