匿名希望(近畿地方・中高一貫校教員)
私たちミッションスクールが最も大切にすべきことは、学校に通う子どもたちが、学校生活を通してイエスと出会い、誰もが神に愛されていることを実感することです。学校行事、授業、その他あらゆる場面で、ミッションスクールがそのために惜しみなく努力すべきなのは明白です。
ミッションスクールとしては、教会の暦の中でも、クリスマスと復活祭は特に現場でも丁寧に、子どもたちに知識だけでなく、その感覚も身につけてほしいものです。だからこそ、極力学校行事として主の復活を祝う場を設け、全学年で集い、祈る時間を持ちたいところです。しかし、クリスマスと比べ、主の復活を現場で学校行事として取り扱うには、多くの壁を乗り越える必要があります。
今、日本で一般的に流布しているイメージと、教会がお祝いするそれとはいささか違いがあるようにも思われつつ、クリスマスは、日本中でこれだけ一般的になりました。一方、復活祭はまだ、教会のお祭りであることさえ、日本では広く理解が得られていないようにも感じられます。これを学校現場で体現しようとなると、クリスマス以上に丁寧に扱う必要が出て来ることになります。我々ミッションスクールはそのためにこそ存在すると胸を張って言いたいところですが、現場にはなかなか、それを実行に移せない事情があります。
例えばクリスマスは毎年12月25日ですので、学校行事としては冬休みに入る直前に実施すれば、当日でなかったとしても、それなりの体裁を保つことが出来ます。一方、復活祭は学校現場としては年度末から新年度の頭にかけて毎年移動します。例えば復活祭の行事を年度末に設定しても、年によっては四旬節にすら入っていないこともあり得るでしょうし、年度の初めに設定しても、復活祭が既に終わった後になってしまう年もあるでしょう。
学校の年間予定は、学校が無理なく一年を終えられるように組まれていますので、年によって年度末や年度初めを移動する行事というのは、運用に大きな努力を必要とすることになります。そもそも年度末や年度初めは、主の復活について子どもたちの理解を深める時間の余裕はなく、特に年度初めならば、新入生がまだ十字を切り方さえままならないまま、主の復活を祝う行事を迎えることになります。
そういった事情があり、現在私たちの学校では、主の復活については学校行事としての実施を見送っています。各学年1単位(1週間に一度)の宗教科の授業で取り扱うこととし、それにふさわしい学年として高校3年生を、時期も、子どもたちにとって学校に通う最後の学期となる2学期に設定しています。これは、最も大切なことだからこそ、最後に取り扱うべきだという考え、また、イエスの十字架の死という凄惨な内容を取り扱う以上、なるべく上の学年が良いという配慮から導き出されました。取り扱い方も、聖書を軸に置いて、数々の宗教画等を参考にしつつ紹介し、子どもたちの心の負担にならないよう配慮した内容にしています。
私たちの学校は、特に宗教行事については全学年の一致を念頭に置いておりますが、場合によっては、有志の募集をし、その単位で主の復活を学校で祝うこともできるかもしれません。この素晴らしい企画を通して、全国の先生方からのお知恵をお借りしたく思います。