2020年は教育改革の年、“教育新時代”の始まりとも呼ばれています。新しい小学校学習指導要領(2017年改訂)の実施に象徴されるその改革の特色は、「知識詰め込み型」の教育から「主体的・対話的で深い学び」への転換と称され、「アクティブ・ラーニング」が一つのキーワードとなっています。同時に、小学校高学年での英語必修化や「道徳の時間」の正式教科化、さらに国語教育再編論などは人間教育の根幹にもかかわることとなるでしょう。加えて、パソコンやタブレットの駆使などの情報技術の波……。戦後の教育スタイルで育った世代にとっては、まるで新しい環境が立ち上がろうとしています。
明治の学制開始から約150年、大正の新教育運動から100年、そして戦後75年、そのような歴史の中て、この国、この社会における教育は大きな曲がり角にあるのでしょう。それが危機なのか、チャンスなのか……とりわけ、人間らしい生き方、いのち、そして心(情操)に関して、宗教教育や文学教育が有する役割の大きさをあらためて考えていくべきときなのではないでしょうか。
広い意味での人間教育としての福音宣教を求めたいAMORにとっても宿命的なこのテーマの扉を今、開いていきたいと思います。文学の意義を問いつつ、カトリック学校での宗教教育の意味を問いつつ、見つめる“教育新時代”の探究です。
宗教的渇望に気づかせる文学の力――遠藤周作、芥川龍之介、夏目漱石に触れて