教育新時代:これからの子どもたちはなにを学ぶか(1)


やまじ もとひろ

日本の教育が迎える転機

3月の声を聴き、今年の大学入試も国立大学後期(3月12日~)を残すだけとなりました。まさに最終盤です。

大学受験生が乗り越えなければならない、最初の関門が「大学入試センター試験」ですが、この試験は、今年が最後となりました。来年は、装いも新たに「大学入学共通テスト」が始まります。

昨年11月文部科学省は来年度から導入予定の、その「大学入学共通テスト」の目玉であった「英語の民間検定試験結果の導入」、また「数学、国語で採用予定だった記述式解答」を断念、再検討することを表明しました。このニュースは連日、新聞・テレビをにぎわしましたからご存じの方も多いでしょう。

日本の教育は、小学校から高校まで、文部科学省が主導する「学習指導要領」を規範として推移します。この学習指導要領は、約10年を区切りとして見直されることになっています。いまが区切りを迎える、ちょうどそのときなのです。

ですから、小学校を皮切りに、中学、高校の教育も変わっていきます。変化するのは高校までの教育の中身だけではなく、その教育による学力を評価する大学入試のあり方や方法も変わってくるというわけです。

 

変わる英語教育

今回の新学習指導要領で、最も目立つのが英語という科目における変化でしょう。これからは小学校でも英語を学ぶようになります。

前述の「大学入学共通テスト」で外部の民間検定試験の結果を導入しようとしていたのも、その流れからくるものです。今年までの「大学入試センター試験」では、解答方法がマークシート方式であったこともあって、英語で評価できていたのは、「読む」「聞く」の、英語をインプットする2つの技能だけでした。言葉には4つの技能があると言われます。このうち、「大学入試センター試験」ではアウトプットする2技能、「書く」「話す」をおきざりにしてきたのです。

中学校から大学まで10年間も勉強したはずの英語なのに、日本人は英語をしゃべれない…、よく聞かれる批判です。

そこで文科省は、改められる「大学入学共通テスト」では、それを是正しようと「書く」「話す」のアウトプット2技能を加え、4技能すべてを試そうと考えたのです。そのことによって高校までの英語学習が変化し、日本人が弱いとされるアウトプットする技能の習得を促そうとしたものです。

Ⓒpixta

しかし、そのために採用しようとした外部の民間検定試験の導入には、さまざまな点で無理がありました。このことの詳細については、いずれお話する機会もあるでしょうから、ここではおきますが、いずれにしろ民間検定試験の採用は見送られました。

新しい学習指導要領における変化は、その代表として英語教育の改革があげられます。今回から始まるこの連載では、学習指導要領の解説など難しいことは抜きにして、身近な中学校、高校教育について、「教育新時代」と題し、変わりゆく、その中身を紹介していきたいと思います。

まずは、変わりつつある英語教育について、次回からは、東京都の中学生が受けることになる「東京都中学校英語スピーキングテスト」を追いかけます。

つづく

やまじ もとひろ
教育関連書籍、進学情報誌などを発刊する出版社代表。
中学受験、高校受験の情報にくわしい。

 


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