私は大学を卒業してから渋谷にある小さな出版社(インタナル出版)に入り、出版とはなにかを学び始めました。あるとき、編集長の林一夫さんから出版人が集まる会に一緒に行こうと言われて顔を出したのが「仮面の会」でした。「仮面の会」 Continue reading
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余白のパンセ 4 コルベ神父「身代わりの愛」から想うこと
鵜飼清(評論家) マキシミリアノ・マリア・コルベ神父が、ゼノ、ヒラリオ修道士と共に日本へ宣教をしにやってきたのは、1930(昭和5)年でした。コルベ神父たちは長崎で宣教誌の『無原罪の聖母の騎士』を日本語で発行しはじめます Continue reading
余白のパンセ 3 わが青春譜 全寮制高校での3年間
鵜飼清(評論家) この連載の1回目に少し触れましたが、私が自分の人生のある意味で原点とも考えている高校生活のことを書かせてもらいます。 * 公立の全寮制高校―東京都立秋川高等学校が、36年間の歴史に幕を降ろしました。起床 Continue reading
余白のパンセ 2 「まひまひ」のように‥‥‥
鵜飼清(評論家) 私はカトリックの三軒茶屋教会で、中村恵里香との結婚の司式をしていただきました。そしてしばらく経ってから燦葉出版社を退社し、二人で「編集工房パピルス」を創りました。 そんな折、中学時代からの友人に頼まれて Continue reading
余白のパンセ 1 余白へのまなざし
鵜飼清(評論家) 世の中には、人に気づかれることがなくすばらしい働きをしている人がいます。あの人がいなければまとまらなかったよ、というようなことがあっても、当人は目立つところにはいません。実直に一筋の道を生きている人もい Continue reading
つらつらつまみ読み『山の人生』
鵜飼清(評論家) 新聞だったかなにかで柳田国男の『山の人生』という本が、初版刊行から来年(2021年)で95年ということを知った。わたしの持っている岩波文庫版の『山の人生』で調べてみたら、初版は大正15年(1926年)と Continue reading
シラノ・ド・ベルジュラック
ブロードウェイの芝居を映画で観ることができる。これは楽しみだ、と松竹の試写室に向かった。 『シラノ・ド・ベルジュラック』を知らない人はいないだろう。この有名な芝居が初演されたのは、パリで1897年のことだという。戯曲はエ Continue reading
ALL IS TRUE シェイクスピアの庭
シェイクスピアが49歳で執筆活動を引退した。まだまだこれからさらなる活躍が期待されていたであろう芸術家の断筆は、どのような理由からだったのか。「何故、こんなに才能に溢れた男が早くに引退したのだろう?」という謎を、シェイク Continue reading
「隠れて、生きよ」
鵜飼清(評論家) 年が明けて2020年になり、今年は東京オリンピック、パラリンピックが開催されるからお祭り騒ぎの年ということになるだろう。お祭りはいいのだが、政(まつりごと)の方へ眼を転じると、はなはだお粗末な具合となる Continue reading
「コンプリシティー/優しい共犯」
出遭いがあれば、別れが来る。日常の生活が弛緩(しかん)したときに、他者の介在によって「当たり前」の真意が問われるときがある。その他者が病であったり、事故であったり、死であったりする。そしてまた、他者が異国からの使者である Continue reading