神さまの絵の具箱 23


末森英機(ミュージシャン)

イエス・キリストだけが、フシギを行なわれる。閉ざされた秘密ではない。わたしたちの、体のなかに、天のやさしい風が、吹いていることを感じられるなら。愛が戦いを好むことが、いつでも、わかる。なぜなら、愛は征服することを、好むから! 愛に、愛をもって報いよ!
言語域を超えて、神の支配は、愛による支配だから。わたしたちは、うりふたつの運命を、背負う、ヨハネとイエスのことを、読んだだろう。十字架の言葉のみを、お歩きになるふたりを。どこまでも、神の愛の調べの出来事だった。わたしたちは死ぬ。そして、何よりも、わたしたちは死なない、わたしたち。わたしたちの対決は、いつふさわしいものに、なってゆくのか?血に染まった、すりきれた、目隠しや、血にまみれた、イバラの冠が語る愛について。ああ、人間を創造しなおしてください。やさしさを、欠いたあいさつ。
疑うことなかれ! 死刑執行人よ!
疑うことなかれ! おおいなる犠牲よ!
花を埋め尽くす死よ!
釘の上に、打ち下ろされる黒い音よ!
木をゆるやかに、出発する。痛みを通してしか、得られない。木の十字架で、まず、子どもたちの、骨をつくり、耕したい。火打ち石の火花が、ふたつの眼をきるように。ともした火花。かわいい預言者たちもまた、はるか遠くへ、追いやられるだろう。約束の地とは、捕囚の、あのひとたち。ヘブライのことわざにある「足はいつも、ほんとうに死にたいところへ、そのひとを運んでゆく」。「わたしはキリストとともに、十字架につけられた」(ガラテヤ2:19)なら。


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