大きな家


今、子どもの虐待など、親によって子どもが犠牲になるニュースがよく見られます。愛し合った人との愛の結晶である子ども、自分がお腹を痛めた子どもを虐待することがなぜできるのか、私は疑問に思っています。

子どもの頃、私が通う小学校には、児童養護施設から通う子がいました。時々、その子が生活する施設に遊ぶに行くことがありました。その施設には、多くの子どもたちがいて、いつも楽しそうだったのが私の印象に残っています。そんな子どもの頃のことを思い出す映画に出会いました。その映画「大きな家」をご紹介します。

東京の とある児童養護施設。ここでは、死別・病気・虐待・経済的問題など、さまざまな事情で親と離れて暮らす子どもたち90名超と120名の職員が日々を過ごしています。

家族とも他人とも言い切れない、そんなつながりの中で育つ子どもたちの本音と、彼らを支える眼差しに密着したドキュメンタリー映画です。

生きることへの不安。うまく築けない人間関係。変えられないものと、ともに生きていくということ。そんな子どもたちの姿がまざまざと描かれています。ここに映っているのは、特別なものではなく、葛藤しながらもたしかに大人になっていく姿と、それを包んでいる、いつか忘れてしまうような日常の景色です。

この映画を企画・プロデュースした俳優の斎藤工氏は、「約4年前に1日限りのイベントのスタッフとして訪れたとある児童養護施設の子が、帰り際に何とも言えない表情で『貴方もまた、もう二度と来ない大人なんだね』とでも言わんばかりの目で私達大人を見ていました。その目が忘れられず、時

折、個人的に施設にお邪魔していました。質より量と言う表現は相応しく無いですが、彼ら彼女らと接するには、会う回数がモノを言う気がしました。元々は知らないおじさんである私に、徐々に色々な話をしてくれる子どもたちのこれまでの物語や、施設での日々を、多くの人に知ってもらいたいと願い完成しました」おっしゃっています。

子どもたちにとって、児童養護施設での生活は、家なのか家族なのか、子どもたちの率直な話が聞かれます。この映画に描かれているのは決して特殊な世説の話ではありません。でも、私たちがふつうと思っていることが本当に“ふつう”なのか、問いかけている作品かも知れません。

中村恵里香(ライター)

12 6 日(金) 先行公開

東京・ホワイトシネクイント、大阪・TOHO シネマズ梅田、名古屋・センチュリーシネマ

12 20 日(金) 全国順次公開

公式サイト:bighome-cinema.com

スタッフ:監督・編集:竹林亮/企画・プロデュース:齊藤工/プロデューサー:山本妙、福田文香、永井千晴、竹林亮/音楽:大木嵩雄/撮影:幸前達之/録音:大高真吾/音響効果:西川良/イラスト:エイドリアン・ホーガン

配給:PARCO/企画・製作:CHOCOLATE Inc.

2024/日本/123分/©CHOCOLATE


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