読書の秋、ということばの「秋」が危機かもしれません。つい先日の10月にも冷房を入れていたときから、早くも暖房に、という時候。涼しく、快適で、秋分を過ぎての夜長を読書とともに過ごすという、落ち着いた秋の風景が失われつつあります。他方、情報はインターネットを通じて多様に触れられ、得られていく今、「本」という手触りのできる相手、一人対面し、対話する対象とのかかわりのひと時は、皆さんのなかでどのように取られているでしょうか。
そんな季節と時代の移り変わりが実感される中、今月は、広くキリスト教に関する本で「私ならこの本をお薦めしたい!」というものを紹介し合う特集にしてみました。タイトルで「キリスト教書」と書きましたが、キリスト教の教えの書・教理書といったようなものではなく、どこかでキリスト教に関係するものをもっている本という意味で、裾野を最大限に広げたうえでの推薦の試みです。キリスト教の本というと、難しい、敷居が高いと思われることも多い中、とても身近で、だれでも、とくに中学・高校生でも親しみやすいものを紹介できたらと立てた企画です。
寄せてくださったのも比較的若い方々(大学生、大学院生、社会人含む)が多く、それぞれにお薦めするなら、あるいは自分自身が薦められてよかった、心に残っているものがあるといったものを自由に紹介してもらっています。
今、新聞や雑誌の休刊が語られ、紙媒体からウェブ媒体への全体的シフトが語られる中で、このウェブマガジン「AMOR」は、やはり本と友だちでありたいと願っています。実際、Book-zoom-inでは、広くキリスト教と交わる文化・歴史に関する注目の書に光を当てて紹介していますし、AMORに紹介される記事もやがては本にまとめたらよいと思うものが増えつつあります。本や雑誌や新聞などといった人類の文明を担い、促進してきたメディアも、より広く多彩に融通無碍に交わる場にしていきたい……そんな営みの一つの姿としてお楽しみください。
祈りについて学べる本:『キリスト者必読 生涯学習のための「祈り」』
聖書について楽しく学べる2冊:『イラストで読む旧約聖書の物語と絵画』『イラストで読む新約聖書の物語と絵画』
自分を満たしてくれるものを求めて~ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』より~
片岡弥吉『ド・ロ神父 世界遺産 出津の福祉像』片岡弥吉全集別冊