ビルマ料理の魅力


E.M

皆さんは、ビルマ/ミャンマーにどのような印象をお持ちでしょうか。あまり馴染みがないかもしれませんが、実は、ビルマ/ミャンマーは食事がとてもおいしい国なのです。この記事では、そんなビルマ料理の魅力を中心にビルマについてご紹介したいと思います。

 

国名はビルマ? ミャンマー?

現在、ミャンマーという国名で知られていますが、『ビルマの竪琴』という有名な作品にあるように、旧名はビルマという国でした。国名の変更が行われたのは1989年のことで、現在でもビルマと呼ぶ人もいればミャンマーと呼ぶ人もいます。元々、ビルマとミャンマーというのは、口語的であるか文語的であるかの違いでしかありませんでした。しかし現在では、軍事政権が勝手に国の呼称を変えた時から、ビルマかミャンマーかという違いには、政治的対立の意味内容も含まれることになりました。

反軍事政権である民主勢力側は、ビルマを使い続けています。ビルマ人である私の母親も、ミャンマーという呼称は軍事政権が勝手に決めたことであることから、ビルマという呼称を好んでいます。ですが、母が言うには、「多くのビルマ人が反対意識を持っていても、軍事政権の独裁によりミャンマーと呼ぶほかないため、現在ではミャンマーと呼ぶ人の方が多いだろう」とのことでした。

ビルマに関する本を読んでみると「呼称はビルマかミャンマーか」という選択には、政治的な解釈だけでなく、ビルマという地理・文化を理解するにあたって適切なものを選択するという方法が主流なようです。今回の記事では、母親が好んでいて、私には馴染みの深いビルマという呼称を用いたいと思います。

 

ビルマはどこにあるのか

ビルマは、東南アジアのインドシナ半島の西部に位置し、タイ・ラオス・中国・インド・バングラデシュと多数の国に接しています。ビルマの上側と下側では自然環境と生活環境が異なり、上は熱帯原野気候で降雨量が少なく乾燥していて、下は熱帯雨林気候になっています。上ビルマでは、中核都市であるマンダレーや世界三大仏教遺跡であるバガン遺跡のあるバガンが有名です。そして下ビルマには、2006年まで首都であったヤンゴンがあります。

 

ビルマの見どころ

仏教大国であるビルマには、見どころの一つとして、パゴダと呼ばれる仏塔があります。私は、3歳の時に家族で訪れたきりで、ホームビデオでしか見たこと無いのですが、ヤンゴンの寺院シュエダゴンパゴダは昔の映像からでもその荘厳さが伝わるほどでした。これは、いとこの両親が撮った写真ですが、写真からでも眩しさを感じることが出来ると思います。

さらに見ごたえのある場所では、皆さん口をそろえていうのがバガン遺跡です。他には、インレー湖で水上に建てられた民家やお寺、畑などがあります。ビルマは仏教大国ですが、キリスト教人口もわずかながら存在しており、このような立派な教会もあります。

また、新年を迎えるための行事である、水かけ祭りも有名です。東京でも毎年4月に、ビルマ正月を祝うイベントの一つとして開催されているそうです。日本に住んでいる私のビルマ人のおばあちゃんや友達も訪れたことがあり、日本にいるビルマ人たちが集まるそうです。

 

ビルマ料理

ビルマはとても国土が広く複数の隣国が存在し、100を超える民族が居住している国であるため、食文化が多様です。そのため、料理を見ていくだけでもビルマという国が多民族国家で豊かな文化をもつ魅力的な国だということがわかります。多様とはいえ、どの料理もニンニク・玉ネギ・しょうが・油がたっぷりと使われたおかずと共に、お米をたくさん食べるのが特徴としてあります。実際に、家でよく食べるビルマ料理を写真と共にご紹介したいと思います。

写真①は代表的な料理とも言える、ビルマカレーです。ビルマ語では、「スィービャン」(油をたくさん入れたという意味)と言います。鶏・豚・牛・マトン・魚をメインにしたものがあり、それぞれの具材とジャガイモをトマトベースや玉ネギベースの味付けで煮込みます。隣国であるインド・バングラデシュとの近さを感じられる料理になっています。

インド・バングラデシュとの食文化の近さは、写真②のビルマビリヤニである「ダンバウ」からも見られます。ヨーグルト・スパイスで鶏肉に下味をつけて煮込んだカレーとレーズンや豆を炊いたお米をいっしょに食べる料理です。

写真③は、ココナッツラーメンと日本で呼ばれている「オノカセ」というラーメンです。ココナッツミルク・ひよこ豆パウダーを焦げないように煮詰め、そこにニンニク・しょうが・玉ネギ・スパイスと鶏肉を炒めて作る汁気の無いカレーとゆで卵を混ぜ合わせたスープに小麦系の麺を入れたものです。少し甘さがあるクリーミーな味付けになっています。ナンプラーやレモンで味を調整し、生の玉ネギやトウガラシフレークなどをトッピングします。

小麦麺の定着は中国系食文化の影響と考えられていて、すぐ隣のタイやラオスにも似ている料理があります。麺系では、他に「モヒンガ」という魚の出汁が印象的なラーメンもあり、これはベトナムの料理に似ているそうです。

写真④は、「カスゥウェイトゥ」という麺料理です。玉ネギ・ニンニク・スパイスで炒めた挽肉・もやし・麺・ゆで卵を混ぜたもので、麺の他にお米で作ったり、麺とお米どちらも混ぜて作ったりすることもあります。きなこ、魚醤油などで味付けをしています。

写真⑤は、「ラペトゥ」というお茶の葉っぱの漬物と揚げた豆や生野菜を混ぜたものです。酸味が特徴的で、白米と一緒に食べます。一般的にもよく食べられていますが、お茶の葉のテインが入っているため、テスト勉強中に眠くならないように学生が食べたりするそうです。日本でも、高田馬場のビルマスーパーなどで手に入れることが出来ます。

ご紹介した料理の写真からも伝わると思いますが、ビルマ料理は日本でも馴染みのあるインド・タイ・ベトナム・中国の料理に似ているものがたくさんあります。それは、ビルマにいる多様な民族が中国・ラオス・タイ・インド・バングラデシュといった複数の土地にそれぞれの民族がルーツを持っているからです。ビルマの歴史について少しでも調べると民族や文化のルーツの複雑さが分かると思いますが、料理を見るだけでもそのことが感じ取れるのがビルマ料理の魅力の一つだと思います。

日本では、高田馬場がリトルビルマと呼ばれるくらい、ビルマ食材のスーパーやビルマ料理レストランが多くあります。ビルマ料理の中でも、シャン族のシャン料理がとても美味しいと母がよく言いますが、なんとシャン料理のレストランも高田馬場にあります。もし今回の記事でビルマ料理に興味を持っていただけましたら、ぜひ高田馬場のレストランに足を運んでみてください。

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

twenty − nineteen =