Doing Charity by Doing Business(7)


山田真人

前回の記事まで、チャリティを学ぶことの意義について、歴史にヒントを求めて考えてきました。今回の記事では、実際にチャリティを教室だけではなく、体験を通して学んでいる高校生の実際の声を紹介させて頂くことで、今までの記事の内容に具体的な文脈を加えることができればと思います。

今回は、東京都白金台にある頌栄女子学院高等学校の取り組みをご紹介します。

その他、NPO法人せいぼでは、様々な学校と探究活動や課外活動を実施しております。今回の記事で、実際に関わる学生がどのような思いを持っているのか、その一部をご紹介できればと思います。

※NPO法人せいぼの学校との提携例についてはこちら

 

頌栄女子学院高等学校:カトリック麹町 聖イグナチオ教会でのWelcome Coffee Ministry

NPO法人せいぼでは、イグナチオ教会にて、第1日曜日の12:00の英語ミサの後、コーヒーの無償提供を実施し、教会に来た人が一度立ち止まり、お互いのことを知ることができるきっかけ作りに繋げています。こうした取り組みが、教会で具体的な人々の出会いが育まれる機会になればと考えています。

以下は、それに参加した頌栄女子学院高等学校の生徒の感想です。

【高校2年生:三角瑳那さん】
様々な背景を持つ方々が礼拝という共通の目的のために集い、国内とは思えないほど国際色豊かな場に驚きました。初対面の方々も積極的に話しかけてくださり、まるで家族のように温かいコミュニティに感銘を受けました。過去に学校でマラウイコーヒーを購入しましたが、背景や資金の用途などを知ってから、自分がそれを提供する側になったことで、短い時間で全てを共有できないもどかしさがありつつも、少しでも興味を持っていただくきっかけを作ることができたことにやりがいを感じました。今回キリスト教の奉仕の精神を肌で感じ、とても貴重な体験をさせていただきました。

【山内菜央さん】
ボランティアに参加するまでマラウイの現状についてあまり知らなかったので、コーヒー販売を通して知ることができて良かったです。調べていくと、マラウイでの給食は1食あたり15円です。1人でも多くの人がこのコーヒーを買うことで、マラウイの子供たちの給食支援に繋がるので、もっと多くの人にこの活動を知って欲しいなと思いました。初めは英語に不安があり緊張していたのですが、とてもフレンドリーに接してくださりとても楽しかったです。

【田中奈々子さん】
以前生徒会活動の一環でマラウイコーヒーを校内で販売したことがありましたが、今回はコーヒーを海外の方々に配るボランティアに参加させて頂きました。最初は海外の方に英語で声をかけることに緊張しましたが、明るく素敵な笑顔でコーヒーを受け取って頂きとても温かい気持ちになりました。短い時間でしたが、自らコーヒーを配り、ミサにいらっしゃった方々との会話を通じてマラウイ支援について知っていただくお手伝いができたことを嬉しく思います。これからも様々な形でマラウイコーヒーを広めていくお手伝いができれば幸いです。

【高校1年生:三品想乃さん】
今回のボランティア活動は、私にとって初めての経験でした。そしてこの活動を通して、ボランティアとは多くの人をつなげるワークショップなのだと再実感しました。偶然居合わせた人々が共通の話題を通してつながり、いつでもどこでもできるこの素敵な環境に巡り合えたことに改めて感謝したいです。今回は特に様々な国の人との交流が多く、英語で会話できたことも貴重な体験になりました。たくさんの興味で溢れる時となりました。

 

コーヒーが作り出した空間と学び

NPOは、企業と政府に対して、「第三組織」と言われることが多いです。それは、他の二者が発見できないミクロで、しかも、時に衝動的とも言えるほど迅速に対応ができる社会課題を見つけることが、その役割だからだと思います。そのNPOの行う活動に参加してくれた方は、きっと普通に?教会に来るだけでは感じられない体験ができたのではないかと思います。それは、教会の大きな役割に対して、斜めからのアプローチができるNPOの活動だからこその体験です。教会共同体は、秘跡を通して人々の信仰を一つにすることが大きな役割であり、それに人々を招くのが、本来の姿です。しかし、教会に対して一般社会が存在し、その二者がお互いにニーズを合わせながらでないと、教会も本来の役割を果たすことはできないでしょう。

そんな中で、NPOが提供するコーヒーが、教会で一歩足を止め、社会に生きている人同士に耳を傾ける一瞬を生み出せれば、教会が大きく進歩していけるチャンスを作れるかもしれません。そして、その営みに関わり、自らもその重要性を理解してくれる学生が増えることで、信仰共同体だけではなく、さらに広く社会を良くすることができる一瞬を創出できるでしょう。

こうした取り組みを、学校でも探究学習として実施しています。くわしくは、こちらもご覧ください。それを現在教会共同体の取り組みと繋げることで、カトリック学校と教会の架け橋を作る取り組みも実施しています。次回はその取り組みについてご紹介していければと思います。

 

山田 真人(やまだ・まこと)
NPO法人せいぼ理事長。
英国企業Mobell Communications Limited所属。
2018年から寄付型コーヒーサイトWarm Hearts Coffee Clubを開始し、2020年より運営パートナーとしてカトリック学校との提携を実施。
2020年からは教皇庁、信徒、家庭、いのちの部署のInternational Youth Advisary Bodyの一員として活動。

 


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