『バカロレアの哲学——「思考の型」で自ら考え、書く』
坂本尚志:著、日本実業出版社、2022年。
定価:1,870円 246ページ
あき(横浜教区)
「バカロレア」というと、国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)をイメージする方も多いのではないでしょうか。国内でも国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与える認定校が増えてきました。
ただこの本はその話ではありません。
ここでご紹介するバカロレア試験は、フランスの高校生の卒業試験のこです。この試験を合格することで大学の受験資格が得ることができます。
なんとこの試験に哲学の問題がでるのです。
なぜフランスでは哲学が重要視されるのでしょうか。
本書では、哲学は学んできた知識をより一層掘り下げるとともに「市民」を育てるためと言います。
また、試験の回答は一定の「思考の型」が必要でそれを学ぶためと言います。
正しい型を学び、物事を正しく理解し、表現できる術を学ぶ。
日頃私たちは疑問や問題が、色々と頭を重い巡ります。悩みが悩みを呼ぶ。
そんな私たちにとって思考の整理方法を学ぶことは、正しく整理した文章を書くことができるということだけではなく、自分の頭を整理するうえで非常に役に立つものと思いました。
1.労働はわれわれをより人間的にするのか
2.技術はわれわれの自由を増大させるのか
3.権力の行使は正義の尊重と両立可能なのか
これは実際に哲学科目で出題された問題だそうです。
私たちは哲学をどう捉えているでしょうか。
フランス人の哲学に対する考え方が面白いと感じました。
本書では「思考の型」を学びながら、この問題を整理していきます。
面白い一冊でした。