FATAがやってきた8


朝FATAの前で服を着始めると、FATAはソファの背の上に飛び乗り、ちょこんとお座りをしてじっとわたしを見つめている。

「わかったよ」と手を延ばすとFATAはわたしの腕の中に飛び込んできた。

リードをつけて家をでると今日もいい天気。

FATAはわたしを引っ張りながら、いつもの公園にわたしを連れ出した。

公園は秋の色どりにあふれていた。

わたしは色とりどりの落ち葉が敷き詰められている歩道をFATAに引かれて歩んでいく。

毎日の日課だ。

まぶしいくらいの光の中を歩いていくと、前から大きな秋田犬がすれ違っていく。

FATAの悪い癖は他の犬に吠えかかる事。

深窓のお嬢様のFATAは怖いもの知らずで、リードにつながれているときは安心して、相手が大きかろうが小さかろうが、「あそぼうよう!」とアピール。

次にすれ違ったのは、ちわわのグループ。

ちわわにも「あそぼうよう!」

そんな犬たちの触れ合いをしながら、公園のいつもの道を歩いて行った。

また瞑想が始まる。

「FATAは、なんでいつもこんなに吠えるんだろう…」

チャウチャウを散歩している近所のおばあさんが言う。

このおばあさん。飼い犬とほんとに同じ顔なんだよなぁ。(ごめんなさい)

「それはね。飼い主を他の犬から守ろうとしてるんだよ」と教えてくれたのが新鮮だった。「犬って、大きさがこんなに違うのに全部〈犬〉っていう種族なんだよなぁ。」

「大きな犬。 小さな犬。 自分の身を守る。飼い主の身を守る。」といろいろ考えていった。

あれっ人間もおんなじじゃん。

白い人。 黄色い人。 黒い人。

大きな人。 小さな人。

互いの関わり合いの中で、自分を守ろうとすることの過剰反応。 知らない・理解できないことに対する不安から生ずる敵対意識。

犬とおんなじじゃん。

人間の場合、更に厄介なのが、他より有利になりたいという飽くなき欲求。

それが、互いを生きにくくしている。

もし相手を信じあえることができたら、人間という種の新しいステージが始まる。

信じること。 愛すること。

それが次のステップにつながる。

キリストの愛を信じている人は、互いに国が違っていても信じて笑い合うことができる。

初めての人とも話し合える。

青空の下。

いちょうの木の下の黄色い葉と銀杏を踏みながら、今日の瞑想は続いていく。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

eighteen − six =