日キ販のクリスマス


三村あき(日本キリスト教書販売株式会社社員)

日キ販のクリスマスは毎年9月の「クリスマス見本市&キリスト教ブックフェア」に始まります。

日キ販? なんのこっちゃ、という方にご説明しますと、正式名称は日本キリスト教書販売という、キリスト教書専門の書籍の卸会社です。
キリスト教書を出版社から仕入れ、書店へ卸して流通させています。キリスト教書ならカトリック・プロテスタント問わず扱う超教派の会社なので、働いている人の教派も様々。自分の所属教派とは違う話が聞けて、目からウロコが落ちることもしばしばです。

紀伊国屋・丸善ジュンク堂などの一般書店はもちろんですが、主に卸す先は全国にあるキリスト教の専門書店です。銀座の教文館のキリスト教書フロアが全国でも有名です。カトリックの方はサンパウロ、ドンボスコ社、女子パウロ会がなじみ深いかと思います。

キリスト教専門書店の特色は、地域の教会が販売先であるところです。また、教会に付属する幼稚園・保育園への販売も多いため、絵本を幅広く扱います。毎日絵本を目にする仕事です。お子さんに何の絵本を読み聞かせようか悩んでいる方は、日キ販に相談してみるのも良いかもしれません。

そんな日キ販の繁忙期は年に2回。クリスマス前と学校の新学期です。
今回はクリスマス前のお話です。

なんといっても日キ販では「クリスマス=子ども」です。教会学校や、教会付属の幼稚園・保育園ではクリスマスプレゼントを園児に配るのが慣例です。サンタクロースもプレゼントは子どもにしかくれないのですから、当たり前といえば当たり前。キリスト教専門書店のクリスマスは、ほぼイコール幼稚園・保育園へのクリスマスプレゼント商戦だと言っても過言ではありません。

日キ販はクリスマスやノアの箱舟など、聖書物語に関連した子ども用おもちゃやグッズなどを海外(主にドイツのクリスマスマーケット)から輸入したり、国内のメーカーから仕入れています。また、プレゼントには絵本も多く選ばれるため、おすすめのクリスマスの絵本を毎年ピックアップし、カタログを作成してクリスマスに備えます。カタログは幼稚園や保育園にキリスト教専門書店を通じて配布され、園の先生から書店へ注文が入ります。

そしてそれらの商品をキリスト教専門書店にお披露目するのが、日キ販主催で例年行っている「クリスマス見本市&キリスト教ブックフェア」です。日キ販では、この日からクリスマスが始まります。

過去には四谷二コラ・バレの地下で開催したこともありましたが、ここ数年は大田区産業プラザの小展示ホールに落ち着いています。
見本市には、約40の出版社・メーカーが集まり、各自振り分けられたブースで自社商品を展示し、キリスト教専門書店と商談を行います。

今年2017年は、9月22日(金)に見本市を開催しました。
出展するのはキリスト教書の出版社に限りません。絵本出版社や、子ども向けのクリスマスグッズを扱うメーカー、また、ろうそくや、クリスマスカードのメーカーなどなど・・・実に様々な会社に参加をいただいています。
前日は丸一日かけて展示の準備を行うのですが、さらりと手際よく準備をされる出展社さんに比べて、主催者の日キ販はタイムアウトぎりぎりまであーでもないこーでもないと、毎年準備に難儀しています。書庫での作業が多い日キ販は、商品を「見せる」ということを普段は意識しないので、いつまでたってもこの作業に慣れません。

2016年の「クリスマス見本市&キリスト教ブックフェア」の様子(写真提供:クリスチャントゥデイ)

見本市当日には、各出展社さんに、今年のクリスマスにおすすめ!な一押し商品をステージ上で1分間プレゼンテーションしてもらったり、スタンプラリーで全てのブースに回るように誘導するなど、実りある商談会になるよう工夫しています。

昔は書店さん相手に限定した見本市だったのですが、近年は午後に一般開放時間を設けています。イベント開催やその場での展示即売など、一般の方々にもアピールする場を意識して作るようになりました。(今年はひふみんこと、加藤一二三 九段のトークイベントを開催予定でしたが体調不良により直前にて中止になりました・・・)
こうしたイベントを企画することで、キリスト教出版販売業界を知ってもらうきっかけの一助になればと思っています。

日キ販は今年で創業50周年を迎えましたが、会社が設立された目的は何といっても「文書伝道」です。(カトリックでは「伝道」という言葉は馴染みがなく「宣教」ですが。)キリスト教出版社、キリスト教書店、そしてその中を取次ぐ日キ販は言ってみれば三位一体で文書伝道を行っています。教会関係者の方々を始め、一般の方々に広く私たちの働きを認知し利用してもらいたいと思います。

神の愛を人々に広く宣べ伝えたい、という思いはカトリック・プロテスタントに関わらず皆同じです。
プロテスタント系出版社は神学書を毎月がんがん出していて研究熱心。頭が下がります。皆さんにもぜひ手に取ってもらいたいと思います。
「初めに言葉があった」というヨハネ福音書の出だしにある通り、キリスト教は言葉の宗教でもあります。色々な本にちりばめられている、様々に立ち現れる神と、たくさん出会う機会を届けられたらと願います。神の言葉を届ける道具として用いられる会社であることが、日キ販の存在意義であると思うのです。

とにもかくにも、クリスマスというのはキリスト教出版販売業界にとっては専売特許本家本元のイベントですから、ここで活躍できなくてどうするのだ?というわけでこれを読んでくださっている稀有な皆さま、全国のキリスト教専門書店へぜひ足を運んでみてください。
クリスマスへの準備を深める書籍やグッズを手に取ることができるはずです。

どうぞ、皆さま良いクリスマスをお過ごしください。

 


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