わたしの信仰生活日記ー神の存在証明ー(2)霊性について


酒井瞳(日本福音ルーテル教会信徒)

プロテスタントとカトリック、それぞれに「霊性」というものがあり、大切にされています。しかし、霊性とは何でしょうか。スーザン・ジョンソンによれば、それは「生きる意味」、「他者の受容」、「こころの平静」だと言います。

霊性とはこの世における、神の御業への参与です。その「場」は、人間存在が本来持つ、理解可能な私的領域を遥かに超越した導きです。それが、ひとの中で実現するのは、ひとが元来所有している神との関係性が根拠になります。同時に、神が創造しかつ愛している、人間と全ての被造物との交わりと連帯を気付かせます。他者との出会いや交わりを通して、霊性は日々形成されていくものです。そして、現代では、霊性を深めるために、様々な可能性の道が開かれています。

(スザーン・ジョンソン『スピリチュアル・フォーメイション』より)

霊性の形成には、神学だけではなく、心理学的側面や、様々な理論と実践が用いられます。中でも、最近心理療法の分野では「物語療法」というものがあります。フランシスコ教皇も、2020年の世界広報の日(5月17日)に「『あなたが子孫に語り伝える』(出エジプト10・2)人生は物語となる」というテーマで、次のように語っています。

それぞれ固有な人生経験を物語ることによって、そこに治療ないしは人間形成が達成される

人は不条理ともいうべき人生経験を経て、物語をつくり、不条理から癒やされ、自己の人生を救済の物語の現場にしていくのです。霊性を養い、信仰の人生の中で救いの物語を紡ぐことは、ただ個人の人生にだけ意味をもたらすものではありません。旧約聖書の時代から含めて、教会という共同体そのものを甦らせるのです。教会は過去に何度も危機があっても、必ず自己の真の基礎を刷新したり、霊的な覚醒をしたりする動きがありました。それこそ、神がこのキリストの教会を愛しているという証明なのでしょう。

私自身は、人生の目標であるエキュメニカルへの道行きを通して、自己の宗教的アイデンティティーを形成しつつあります。今までの人生の中で様々な教派の人と出会い、交わりの食卓の出来事を通して、信仰の日々を歩んでいます。現在を生きる私たちが飲める井戸の水は、単一の水源だけではありません。この多様性と一致の進む世界の中で、全く異なった様々な水源を通して、今の自分が存在していると感じています。

また、私の霊的成長にとって、カトリック教会の「黙想会」という存在も大きな出会いでした。例えば、「せせらぎ」というグループでは、霊的な訓練という目的はもちろん、人生の体験を共に分かち合い、心理学的な要素を取り込んだ学びを用いて研修を行っています。それは、私が今まで体験したことのない、かなり独特なものでした。また、「静まり」への注力は、この世界中を騒がせ、日々目や耳にする怒りや不安などから距離をおくだけではなく、他者を尊重し、助け合い生きていくことが大事だと思い出させました。

一方、プロテスタント教会には「デボーション」という祈祷会があります。デボーション。それは、神と共に生きる霊性です。私は今、キリスト教超教派の大学生サークルであるKGK(キリスト者学生会)の友人と、週に2回オンラインで朝に祈り会をしています。その中で近況を語り合い、信仰の歩みをお互いに確認したり、「デイリーブレッド」というオンラインのガイドブックを参考にしたりして、聖書を読み、祈り合う日々を過ごしています。ここ3ヶ月程度はこのルーティーンを守れないこともありましたが、それでも、今も継続して行っています。

実際にデボーションをやってみると、他者への注意が薄れていたと気付かされ、神の民としてこの世に生きる人生の方向性や、今ここに必要な生活を整えるためのヒントが与えられました。将来を見据えて期待する到達地を考えつつ、神の御心を知りたいと望みました。そして、ふさわしい識別ができるように日々願っています。

今もこのコロナ禍で、黙想会を持てない日々が続いています。教会によっては、まだ礼拝がオンライン配信のみのところや、年配者がミサにあずかることができないところもあります。そして、これから来ると言われている第二波の恐怖に怯えています。

主において常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい。あなたがたの広い心がすべての人に知られるようになさい。主はすぐ近くにおられます。どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。そうすれば、あらゆる人知を超える神の平安が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう。

(フィリピの信徒への手紙4:4~7)

私たちは今までの人生の中で、神の平安をどれだけ体験してきたのでしょうか。コロナに限らず、身近な問題や経済面など、常に不安が押し寄せることもあるかもしれません。でも、このような危機を通して、この試練にも何か意味があると信じて向き合うことが大事だと感じます。私たちは霊性を深めていく中で、恐れる代わりに愛し、復讐する代わりに赦し、失望する代わりに望みを抱くように創られています。私たちはどこにいても、どんな状況に置かれていても、神は私たちと共におられ、私たちに語ってくださるのです。今一人になる時間が多くなったからこそ、改めて霊性について見直してみたいと思います。

 

【参考文献】
スザーン・ジョンソン著、梅田與四男訳『スピリチュアル・フォーメイション』一麦出版社、2007年

 


わたしの信仰生活日記ー神の存在証明ー(2)霊性について” への2件のフィードバック

  1. 酒井瞳さん
    とても励まされ、大事なことを教えられる記事でした。私も様々な教派と出会えたことは大きな恵みです。望みを抱いて喜んで歩んでいきたいです
    (HPからメッセージ嬉しかったです!ありがとうございます✨)
    佐藤真理子

    • 佐藤真理子さん。

      お返事ありがとうございます。
      同じAMOR内で、共に記事を書けることに感謝しています!
      福音宣教のメディアでの可能性を、一緒に探していきたいです。
      また何かの機会に、お会いできたら幸いです!

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