第43回日本カトリック映画賞レポート(1)映画賞に参加しての感想


2019年6月22日、第43回日本カトリック映画賞授賞式&上映会(主催:SIGNIS JAPAN、後援:カトリック中央協議会広報)が、なかのZERO大ホール(東京都中野区)にて行われました。

1976年に始まった日本カトリック映画賞は、毎年、前々年の12月から前年の11月までに公開された日本映画の中で、カトリックの精神に合致する普遍的なテーマを描いた優秀な映画作品の監督に贈られます。今回の授賞作は、信友直子監督のドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』です。

webマガジンAMORでは、映画賞の感想や対談の様子などを3回に分けてお送りします。第1回は、映画賞に参加した方々からの感想を紹介します。

(2019年7月8日)感想1件追加しました(背景:緑)。

映画見ました。介護施設で働く、同居の次女と一緒に見ました。一人暮らしの、近所のおばちゃんを誘いましたが、「ボケはいいわ」と忌避。カミさんは、「見たくない」と、これも忌避。
母、87歳、認知症。父、95歳、初めての家事。広島県呉市に住む。東京で離れて暮らす、娘。
母、「大儀~い」(シンドい)と、床に落とした洗濯物の上に寝込んでしまう。買ったリンゴのストックを忘れて、又、サンふじを買う。段ボール箱の中にリンゴが10個もたまる。
母、「だんだんバカになる。」「誰もわたしの言うこと聞いてくれへん。」テーブルを叩いて怒る。壊れてゆく母。
父、「(母は)我が強いけん、疲れる。」
娘、「父と娘の面倒を見てきた母は、面倒を見られる立場になった自分が赦せない」と語る。
娘、「東京の仕事を辞めて、帰ってこようかナ?」
父、「仕事やめることはなか。オレがめんどう見る」
私は、いつか来るだろう私とカミさんの姿をイメージしました。壊れてゆく「母」の姿に次女が涙するのを13年ぶりに見ました。介護施設の、利用者のだれかを思ったか……。ボケてゆく自分の母を思ったか……。
帰り道、電車の中で念じました:“ボケが避けられないならば、明るく、かわいらしくボケさせて下さい。”
神さまが、最期は、全ていいようにして下さる。
深く感動し、考えさせられました。
認知症になったお母さんをお父さんは特別なことをせず、普通に接していることに驚きました。
時間がかかっても洗濯をしたり、食事を自分でとられたり、葛藤の中で懸命に生きているお母さんと、強制せずに温かく見守るお父さんと娘さんの姿が印象的でした。
家族として何が出来るのかサポートするとはどういうことか考えさせられました。
対談の中で、監督が「親の介護は最後の子育て」のお話しをされていましたが、私も今、高齢の父、母の生きる道を通して学ばせてもらっているんだなと思う気持ちが強くなりました。
泣けて笑って……心に残る素晴らしい映画でした。
お父さんがお元気で、お母さんの容態が回復するようにお祈りいたします。
カトリック映画賞の作品をご紹介下さりありがとうございました。
監督のお父さまとは1つ違いで、2002年に81歳で逝った父。学徒動員で陸軍に入隊、戦後は仕事一筋に生きた。「男子厨房に入らず」、おそらく洗濯機の使い方も知らないままだったに違いない。以来17年独り暮らしを続ける母は91歳を越えた。
映画に登場する監督のお父さまとお母さまの日常、その両方の姿が母に重なる。認知症ではないものの、お父さまと同じく難聴でときになかなか話が通じず、お母さまと同じく膝が痛くて、出かけるときは片手に買い物カート、片手に杖。だから傘を持つ手はもうなく、雨の日に出かけることはない。その姿で普通は徒歩5分のスーパーに行くのに20分をかけ、さらに途中のベンチで休憩をとる。
映画を観ながらあふれてきた涙は、悲しいからでも嬉しいからでもまして可笑しいからでもない。監督のお父さまとお母さまの想い、そして監督ご自身の想いに母と私の今が重なったからだ。
母は明るく口にする。
「だあれも教えてくれへんから、ようゆうとくよ。年とったらこないことになって、身体のあっちこっちが動かんようになるんよ。それでも生きなあかん。あんたも気ぃつけ~」
「介護は親がしてくれる最後の子育て」――対談での監督のことばが胸にしみました。
人生でどんなに大変なことや辛いことがあっても、それは神様からのギフトであることを知りました。
そして、困難な状況にあったとしても、小さな喜びや発見、笑いを積み重ねていける人になりたいと思いました。
家族とは何か、を考えさせられる素敵な映画でした。
この映画を見ることができてよかったです!
ありがとうございました!
教会でのお知らせでこの催しの案内があり、今回の受賞映画の題名をを聞いて、「えっわたしのこと?!」と思いました。
充分に後期高齢者でもある私は、友達3人と上映会の会場に行ってみました。スクリーンの中に映し出されたご夫婦の日常のやり取りを、ドキュメントとして作品にまとめられたお嬢さんの心情も深く察しながら拝見しました。70歳を越えて認知症になった女性と80歳を越えても元気でいるその夫。大変であるはずの毎日を、空いた時間に自分自身の趣味を生かしながら、彼女を温かく支えていく様子が、とてもユーモアを感じさせる内容として描かれていましたので、時間を意識することなく私達は一気に入り込んで見てしまいました。とても内容のある忘れられない作品となりました。感謝しております。

(写真提供:生川一哉)

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