カトリック教会をはじめ西方の教会で11月は「死者の月」とされています。11月が諸聖人(1日)、死者の日(2日)で始まることもあり、自然とそのような慣習になっていったのでしょう。北半球では、紅葉から冬へと向かう時候。自然に死者に思いを寄せる気持ちにもなるのか、お彼岸やお盆の慣習が強い日本の風土にある教会でも、墓参や追悼ミサの季節として、定着しているようです。
「生きとし生けるもの、すべてに恵みを施せ。また、死者にも思いやりを示せ」(シラ7:33)という言葉が聖書にあります。イエス自身が葬送について何か教えたり、命じたりしたことはないでしょう。しかし、その遺体が十字架から引き取られて丁寧に埋葬されたことは、福音書が淡々と、しかし、しっかりと記しています。そのことが復活の序曲になっているかのようです。埋葬すること、墓を残すことの意味が揺らいでいるといわれるなか、やはり、そこには意味があるにちがいない……そのような問いかけのもと、キリスト教の葬送慣習や遺体・墓に関する記事を集めていきたいと思います。
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