体操しようよ


ラジオ体操は制定されて90年ということをご存じでしょうか。現在シニア世代にラジオ体操が人気だということですが、ラジオ体操といえば、小学校のとき、夏休みに近くの公園や学校に集まってするものというイメージを持っている方がほとんどだと思います。かくいう私もそうしたイメージしかなく、大人になってラジオ体操をした記憶はありません。そんなラジオ体操をテーマにした映画「体操しようよ」をご紹介します。
老舗の文具会社を38年間無遅刻無欠勤で勤め上げ、定年退職を迎えたシングルファーザーの佐野道太郎(草刈正雄)は、定年退職したその日に30歳になる娘・弓子(木村文乃)から“親離れ”宣言ともとれる「今日から佐野家の主夫は、お父さんです!」との手紙を受け取ります。定年後は悠々自適を夢見てきた道太郎に、初めての家事、初めての地域デビューの試練がのしかかります。

生活全般を妻亡き後の18年間娘に支えてきてもらった道太郎は何をしても失敗ばかり。そんな父に娘は厳しく接します。そんなある日、会社の元上司並木晋(平泉成)が道太郎を気遣い、ラジオ体操に誘います。「俺たちの人生はこれからだ!」と定年退職後の過ごし方のアドバイスをしますが、そんな並木がぽっくり逝ってしまいます。

並木のアドバイスに従い、1日1回は外出することにし、海沿いの公園に向かうと、ラジオ体操会で見かけた喫茶店オリビエの店主兼ラジオ体操会のマドンナ・のぞみ(和久井映見)が海を見つめて涙する姿を見かけます。つい気にかかり後を追い、喫茶店に入ると、笑顔で五十鈴灯台ラジオ体操会のチラシを渡され、「朝から身体を動かすとすっきりしますよ」と誘われます。翌朝から早速いそいそと公園に出かけ、ラジオ体操を始めます。

ラジオ体操会にはさまざまな人物がいました。会長の神田義彦(きたろう)は、便利屋を営んでいます。ラジオ体操後、参加者とともに喫茶オリビエでとるモーニングセットは、道太郎の沈んでいた心を温かくしてくれました。その場の勢いで、神田の営む便利屋でアルバイトを始めることになり、年下の先輩で天体観測が趣味の薫(渡辺大知)とともに町の困り事に走り回ります。

あっさり地域デビューを果たし、大張り切りの道太郎ですが、会長の神田がケガをし、欠席中に次期会長の座を狙う木島(徳井優)の怒りを買い、体操会は分裂してしまいます。ここからは皆さんが映画館で観てください。体操会はどうなるのか、のぞみの涙のわけは、娘・弓子との関係は? さまざまな問題をはらんだまま物語は進んでいきます。

この映画の魅力は、草刈正雄を中心とした俳優陣だと思います。なんということのない役にさまざまな著名な役者さんを配し、なんということのない台詞に、人間関係がまざまざと浮かび上がってきます。定年退職後、仕事人間のお父さんがどうして生きていけばいいのか、そして、家族の対応は? 小さなコミュニティの中にもさまざまな人間関係があり、そしてさまざまな葛藤があります。そんな中で、営む人間の生活をふんわりした雰囲気の中で問いかけているのではないかと思います。ぜひ映画館へ足を運んで観てください。ラジオ体操がしたくなるかもしれません。

(中村恵里香)

11月9日(金)より全国ロードショー

監督:菊池健雄/脚本:和田清人、春藤忠温/撮影:佐々木靖之
キャスト
草刈正雄、木村文乃、きたろう、渡辺大知、和久井映見ほか

製作:「体操しようよ」製作委員会/配給:東急レクリエーション
©2018『体操しようよ』製作委員会

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