女は二度決断する


世界中でテロと思われる殺戮が止まりません。一方で、日本では移民や難民がなかなか認められないという事実があります。日本では、テロが身近に感じることはありませんが、でも、もし自分の身近な人間、ましてや愛する家族をテロで失ったらどうするか。そんなことを考えさせられる映画に出会いました。その映画のタイトルは『女は二度決断する』です。

舞台はドイツ、ハンブルグです。生粋のドイツ人カティア( ダイアン・クルーガー)は、トルコ系移民ヌーリ(ヌーマン・アチャル)と学生時代に出会いました。ヌーリは、麻薬の売買で収監されますが、2人は強く結ばれ、獄中結婚します。出所後、在住外国人相手にコンサルタント会社を始めます。愛する息子ロッコ(ラファエル・サンタナ)にも恵まれ、幸せな日々を送っていました。

ある日、妊娠中の友人ビルギット(サミア・ムリエル・シャンクラン)とスパに行くため、ロッコをヌーリの事務所に預けます。夕方事務所に戻ってみると、周辺にパトカーが止まり、入れない状況になっています。爆発事故があったと知り、駆け出し、事務所の前に行くと、瓦礫の山になっていて、二人の姿はどこにもありません。自宅に戻り、待っていると、DNA検査を終えた捜査官が二人の死を知らせます。レーツ警部(ヘニング・ペカー)からヌーリについての質問を受けることになります。その質問はまるで容疑者への尋問のようです。その途中、出がけに事務所の前に自転車を止めていた女性が鍵をかけずに行こうとするので、鍵をかけるように注意したことを思い出します。

翌朝のニュースは被害者であるはずのヌーリの前科を持ち出し、まるでヌーリに非があったようなものばかりです。封鎖された現場に出向くと、事務所の壁は、木々爆弾による傷だらけで、血痕が残っています。家族を守れなかったことに苦しみ、カティアは手首を切り自殺を図ります。意識が遠のく中、電話が鳴り、「犯人がつかまった。ネオナチだった」と告げられます。

裁判が始まります。絶対法の裁きを受けさせると決意し、カティアは裁判に臨みます。容疑者はネオナチの夫婦、エダ・メラー(ハンナ・ヒルスドルフ)とアンドレ・メラー(ウルリッヒ・ブラントホフ)です。アンドレ・メラーの父親ユルゲン・メラー(ウルリッヒ・トゥクール)は「息子はヒトラーの崇拝者です。卑劣なことをしました」と証言しますが、押収したものからは、容疑者以外の指紋が見つかり、彼らの犯罪は確定できません。さらに当日、容疑者のアリバイを証言するものも現れます。カティアが証言する日がきます。自転車を置く女は容疑者であることを証言しますが、容疑者の弁護士は、ヌーリの前科などを執拗に責め立て、「証言や予約台帳が示す通り、事件当日、ギリシャにいた。薬物の影響下にあった人の証言は信じることはできません」といわれてしまいます。

判決の日。被告人は無罪となります。納得のできないカティアは、容疑者を追ってギリシャに向かいます。

ここからは観てのお楽しみです。容疑者に何をしようとするのか。そして最後の結末には衝撃的です。

この映画の原題は、“IN THE FADE”です。ここに映画の意味するところがあります。そして日本語タイトルの「二度決断する」とは何かもカティアの動きに意味があります。

この映画を観て身内が無残にもテロによって殺されたとき、ただ悲しむだけではない女性の強さがうかがい知れます。実際にドイツで起きたネオナチによる連続殺人事件を基に描かれたこの映画は、民族とは何か、愛するとは、そして愛する家族を失った悲しみとそれに立ち向かう勇気が描かれています。

(中村恵里香、ライター)

 

2018414日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBIS GARDEN CINEMAほか全国ロードショー

監督・脚本:ファティ・アキン/共同脚本:ハーク・ボーム/撮影:ライナー・クラウスマン

キャスト:ダイアン・クルーガー、デニス・モシット、ヨハネス・クリシュ、ムリエル・シャクランほか

製作国:ドイツ/製作年:2017年/106

協力:ゲーテ・インスティトゥート、東京ドイツ文化センター

後援:ドイツ連邦共和国大使館

配給:ビターズ・エンド

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