山本潤子(絵本セラピスト)
人生に寄り添う
『ぜつぼうの濁点』
原田宗典:作、柚木沙弥郎:絵、久山一太:訳、教育画劇
季節の絵本
『あかいてぶくろ』林木林:文、岡田千晶:絵、小峰書店
小さな女の子が赤い手袋で雪遊びをしています。たくさん遊んで濡れた手袋はストーブの前に並んでふわふわになります。ところがある日、女の子は右の手袋をなくしてしまいました。迷子になった右の手袋は森の中を転々とします。ウサギの帽子になったり、ネズミの布団になったりするうちに、破れてボロボロになってしまいました。 女の子は新しく右の手袋を編んでもらいました。女の子が手袋をして散歩に出ると、左の手袋は木の枝に咲いた赤い花のようなものが右の手袋だと気がつきました。木の枝に引っ掛かっている右の手袋もまた、左の手袋に気がつきました。離れ離れになってもお互いを忘れることはなかったのです。 春が近いある日、それぞれの人生を送るふたつの手袋はまたすれ違いました。ボロボロに姿を変えた右の手袋は今度はリスの大事なセーターになりました。
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東京理科大学理学部数学科卒業。国家公務員として勤務するも相次ぐ家族の喪失体験から「心と体」の関係を学び、1997年から相談業務を開始。2010年から絵本メンタルセラピーの概念を構築。