細野晴臣というミュージシャンをご存じでしょうか。私にとって細野晴臣という人は、音楽の世界に触れるとき、大きな影響を与えてくれた人でもあります。松本隆、大瀧詠一、鈴木茂とつくった「はっぴいえんど」に始まり、その後、YMOというテクノブームを牽引し、小学校から青春のころまで常に音楽シーンで刺激を与えてくれた人でした。そんな彼に焦点を当てたドキュメンタリー映画『NO SMOKING』が間もなく公開されます。
この映画、彼の生い立ちやその後の活動についてすごくていねいに描かれています。多くの人が彼を語るのではなく、細野晴臣自身の語る言葉で描かれています。
台湾、ニューヨーク、ロサンジェルスなどなど、世界を回り、コンサートを開催し、すべてソールドアウトになっていきます。
彼の原点である両親のことも語られています。音楽好きな母親はハイカラモダンガールだったと言います。父親はというと、英語が堪能で、ダンサーになりたかった人で、いつも海外のポピュラーソングに親しんでいたそうです。そんな家庭環境の中、松本隆、大瀧詠一、鈴木茂と出会い、「はっぴーえんど」を結成。そして「Yellow Magic Orchestra」を経て、80年代になると、松田聖子の「天国のキッス」などを作曲。そして現在にいたるまでが描かれています。
お笑いが大好きで、自由に軽やかな細野晴臣の人生が浮き彫りにされています。
そしてこの映画の何よりの魅力は、50年にわたる音楽人生を貫いている細野晴臣の音楽にたっぷり触れられることです。
彼の魅力は何なのだろうかと思いつつ映画を観ているうちに私の中で、彼のさまざまな人を魅了する何かを観たような気がします。この感覚を観にぜひ劇場に足を運んでください。
(中村恵里香/ライター)
11月1日シネスイッチ銀座、ユーロスペースほか全国公開
公式ホームページ:http://hosono-50thmovie.jp/
監督:佐渡岳利/ナレーション:星野源
出演:細野晴臣、ヴァン・ダイク・パークス、小山田圭吾、坂本龍一、高橋幸宏、星野源、マック・デマルコ、水原希子、水原佑果、宮沢りえ
製作幹事:朝日新聞社/制作プロダクション:NHKエンタープライズ/配給:日活、©2019「NO SMOKING」