スペイン巡礼の道——エル・カミーノを歩く 17


古谷章・古谷雅子

9月18日(日)第4日目 小雨のち晴 <行程24km/累計93.5km>

パンプローナ~プエンテ・ラ・レイナ

昨夜はせっかくのオスタル泊まりだったので、いつもよりやや遅く起き8時過ぎに出発。最初は霧雨程度だった雨はだんだん本格的な雨になってしまったが、むしろ気温が低いので歩きやすい。郊外にあるナバーラ大学に寄り道をして守衛室(?)で巡礼手帳にスタンプを押してもらった。よくしつけられた犬を連れた巡礼者がいて感心した。

郊外にあるシスール・メノールのバルは巡礼者でにぎわっていたが、その先のサリキエギという小さな村でバルに入って朝食にした。ガイドブックには書かれていないが、このバルの2階は新しくてきれいなアルベルゲになっていた。昨今の「カミーノ・ブーム」を当て込んだ私設アルベルゲがルート上に増えているようだった。

一面に刈入れの済んだ麦畑の広がる大地を進むと、ペルドン峠に向かう上り坂にかかった。しかしゆるい坂の上、暑くないので苦にならない。峠には大きなモニュメントがあり、遠くには風力発電の大きなプロペラがたくさん見えた。峠の先は晴れていて畑と森の織りなすナバーラの大地がよく見渡せた。

ペルドン峠への登り、稜線には風力発電の風車

ペルドン峠のモニュメント前で

下りにかかるところでこれから目指すプエンテ・ラ・レイナのアルベルゲ、Santiago Apostol のチラシが配られていた。見ると2人用の個室もあるのでそこに泊まることにした。この下りはガイドブックには厳しい道と書かれていたが難なく歩き、他の巡礼者をどんどん追い抜くことができた。道の両側には石ころだらけの耕地があり、畝の上はきれいに刈り取られていた。何を植えていたのか不思議に思えたが、どうやらひまわり畑のようだ。ムルザバルという村からやや離れたエウレカにあるロマネスクの礼拝堂に寄り道をするルートもあるが、件のアルベルゲに早く着いて個室を確保したいこともあり割愛した。

プエンテ・ラ・レイナの中心は狭い石畳の道を中心とした古くからの宿場町だ。ほかにもアルベルゲがあったが、目指すアルベルゲは町を出た先の坂道を登った丘の上にあった。この最後の登りは少々きついものがあった。

美しい石橋、プエンテ・ラ・レイナ

2人部屋(といっても、2段ベッドとベンチに囲いがあるだけだった)を確保してからシャワーと洗濯。天気も良くなり風もあるので洗濯物はすぐに乾いてしまった。町へ再び戻ってバルでのんびりした。この町はその名の通り、王妃の橋という石橋が町のシンボルだ。また南から来る「アラゴン・ルート」との合流点であり「ここからすべての道は一つになりサンティアゴへ向かう」との表示があることになっているのだが、惜しいことに見落してしまったようだ。

チェックインの時に申し込んでおいた夕食を7時からアルベルゲで食べた。また大テーブルでの一斉夕食だが、ここまで前後して歩いてきた日本人女性のMさんが隣に座った。今回エル・カミーノを歩いていて、出会った日本人はこのMさんを含め2人だけだった。

パンプローナ 8:00 ~ シスール・メノール 9:30 ~ サリキエギ 10:50/11:20 ~ ペルドン峠 11:55/12:00 ~ ムルサバル 13:20 ~ プエンテ・ラ・レイナ 14:25 ~ アルベルゲ 14:40


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