かんがえる葦


あき横浜教区

定年退職の前日 その1

明日2026213日金曜日は、わたしの定年退職の日である。奇しくも明日は13日の金曜日。わたしはこの日を忘れることはないだろう。

最近のわたしは、無意識に行っていた毎日の行動をかみしめながら日々を送っていた。

今日12日。 京浜東北線蒲田駅で緊急停止。重病人とのことで15分程度停車した。

「電車もよく止まったなぁ」と以前の通勤時の緊急停止を思い出しながら満員電車の吊革につかまっていた。

そのうち「お忙しいところ時間がかかり申し訳ありません」と車内放送。「病気の人大丈夫かなぁ。どんなひとだろう」と思っていると、「仕事の途中で倒れて大丈夫かなぁ」と考え始めた。わたしも満員電車のひとりの会社員。

この電車の中には、多くのひとり、ひとりが乗っている。皆生活している。

 そのうち電車は動き始め、新橋駅で押しだされるように電車から吐き出された。

駅から出て、ぞろぞろと前を向き、忙しそうに速足で歩くひと。ひと。わたしの人生もこんな感じだったなぁ。

 

定年退職の前日 その2

若いころ結婚してこどもが小さいころ、会社のイベントには家族が参加する昭和の時代。妻がひとりこどもを背にして、もうひとりの手を引いて、イベントに参加したのを覚えている。会社の運動会もそうだった。男は家族のために働き、女は家でこどもを育てる。そんな時代だった。

生活することは文字通り生きること。

そんな会社生活を約半世紀続けてきた。

会社も7〜8社かわった。

ふたりでこどもを育て、そのこどもも大きくなった。結婚して孫もうまれた。

いま、わたしの生活は夫婦といっぴきのわんこになった。

 

定年退職の前日 その3

 会社の仕事で出張が重なったり、現場で徹夜を続けたり、家族と離れて海外で仕事をしたり。

そんなわたしの生活は、日本では普通であろう。もっと生活が辛い人もいることを考えると幸せな会社員生活だったといえるだろう。

ただ定年を間近に迎えると、いろいろな感慨が浮かぶのである。

わたしの生活はこれからどうなるんだろう。大変大変と言いながら、夢の中で次の日の仕事を反芻しながら生きてきた日々ではあるが、月々の給金が支払われていることが当たり前になっていた。これからはそれが無くなる。生活を続ける事ができるのだろうか。

理由のない漠然とした不安がよぎる。

あらためて、ひとは食って寝る動物であることを実感する。

駅を出て、わたしと同じ方向をまっすぐ見ながら歩くこの人々はみんな同じ動物なのである。

 

かんがえる葦

 これがなぜだか分からないのだが、会社に向かって歩いていると、突然「人間はかんがえる葦である」という言葉があたまに響いた。

「人間は自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。しかし、それは考える葦である」といったパスカルの言葉。

わたしの思考回路がなぜこの言葉を導いたのか、また哲学者パスカルの言いたいことと同じことを言いたいのかわからなかったが、歩きながら「かんがえる葦」を考え始めた。

わたしがこの世の中に存在している一瞬、動物して生活し、動物として死にゆく存在であることは、怖いながらも理解している。

神さまが作られたこの世界。

わたしは、大宇宙の片隅に存在する地球に現れた人類という種族のいっぴきの動物に過ぎない。いずれ神さまの世界に戻ることは怖いながらも理解している。

そんなか弱い人間の動物としての一面とともに「考えることができる存在である」

「確かにわたしは考えることができる」

この考えるとは、どのようなメカニズムで、どのような作用で行われているのかわたしには理解できないが、確かに「わたしは考えている」

神さまは宇宙の片隅に存在する人間に考えるという能力を与えた。

なぜだろう。 人間は「考える能力」をどう使ったらよいだろうか。

生物として生命を維持するために使うことは当然のことだろうと思う。

ただそれだけだろうか。

人は生命を維持する目的だけではなく、自己欺瞞や欲得で同族同士殺しあう種族である。原罪とも思える所業。

場合によっては、地球をも滅ぼしかねない力を使う。

そんな人間に与えられた考える能力。

ある人は「人間に考える力を与えたのは”死”理解させるためである」と言っていた。

わたしたちは、この与えられた「考える力」をどのように使ったらよいだろうか。

それを考えることも私たちに与えられた使命。

 

考える力

 神さまは「考える力」を私たちに与えてくださった。だからこそ大事にこの力を使う必要があります。

会社生活を終える今、わたしには何ができるのか。 今が考え時。

過去の自分を顧みることも必要かもしれません。そこから新しい自分を見つけることもあるでしょう。

私のため、家族のため、そして地域のため。そして人類のため。

定年を迎えるにあたり、わたしもいろいろ考えていこうと思います。


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