町田雅昭(シグニスジャパン)
とても充実した中身の濃い巡礼(2023年12月1日〜9日)でした。禁教時代に殉教覚悟で来日・受難したシチリア島出身の5人の宣教師(福者デ・アンジェリス、マテウス・アダミ、聖ジョルダーノ・アンサローネ、ジョゼッペ・キアラ、そしてシドッチ)、内、前の3人は今回初めて知りました。
今回初めて、江戸の殉教者デ・アンジェリス神父の故郷エンナの「デ・アンジェリス祭」に日本から巡礼団が参加したのですが、我々の気持ちもこの巡礼中の最高潮に達しました。また彼ら5人の宣教師の郷里を訪問し、日本への布教&受難への感謝の意をそれぞれの街の人達に伝えたこともとても意義深く、忘れられない思い出です。私の所属の調布教会でもスナップ写真中心の報告会を持ちましたが、風景、遺跡、教会、街、建物、人々の姿とほとんど全員が初めて見聞することでしたが、皆が殉教の時代に思いを馳せて感動していました。
巡礼団は北海道から九州まで全国から30名、様々な経緯で、また色々な経験や目的をもった多彩な顔ぶれが集まり、お互いを知り合えたのも大きなお恵みでした。小雨も降りましたが、バスの中、ホテル滞在中でしたので、一度も雨具を出さないで済みました。福者デ・アンジェリス殉教400年祭は山の上のエンナ旧市街で霧の中、約2kmを消防団員が神父の像と聖遺物を御神輿の様に担いで、我々も街の人々と共に練り歩きました。
今回の巡礼での一番の感動は、あの禁教時代に命を賭して日本への宣教を志した人々の存在とその意志の強さ、そしてここシチリア島は紀元前はギリシャ、その後ローマ、ゲルマン、6世紀にビザンツ帝国(ギリシャ文明)、9世紀にアラブ(イスラム文化)、11世紀にはノルマン人、と植民地化されたが、ノルマン人時代はアラブ人やギリシャ人を積極的に登用し、多民族共存を実現したという史実でした。特に12〜13世紀のシチリアはキリスト教とイスラム教の対話がなされた稀有な時代だったそうで、フリードリヒ2世がアラビア語でスルタンと直接交渉し、無血の十字軍として契約による休戦・エルサレムへの安全な巡礼が確保されたとの話は驚きでした。
その名残を今もシチリアの建築や当時の人々の考えを4ヶ国語(ラテン語、ギリシャ語、アラビア語、ヘブライ語)で書かれた碑板や3ヶ国語の案内板等で彷彿させてくれました。(その後、スペインの領土となった時代にはその寛容さがなくなったとのことでとても残念な思い。)
今や諸宗教対話の時代、パレスチナやウクライナでの戦争は宗教ではなく、昔ながらの土地の略奪に対する自由と尊厳をかけた抵抗運動なのだと思う。神様からの叡智で一刻も早い戦争の終結を祈願すると共に、我々の世代もこのノルマン人の叡智をもう一度生かさねばと強く思います。
最後になりますが、今回の巡礼を企画・実行したのは旅行社や聖職者ではなく、吉祥寺教会信徒の千葉悦子さん(千葉さんの記事はこちらです)、この方の強い一念でこの巡礼が実現できたのはひとえにこの巡礼が神様のみ旨に適っていたからだと天の恩寵を強く感じました。
町田さま
この巡礼のご報告ありがとうございました❗️
5人の聖なる殉教者たちの故郷であるシチリア島の歴史、文化の
紹介を大変感銘深く拝見しました
シチリア島には前から興味があって、NHKのBS番組で古代遺跡や
ノルマン朝の映像を録画して楽しみました
特にフリードリヒ2世の、時代を先取りした治世には感心するばかりです
その後のカトリック勢の狭さからくる統治は残念でなりません
また参考図書のご紹介もありがとうございました
一冊でもアプローチできればと思います
この巡礼の発案者である千葉悦子さんは私の尊敬する友人で
キリシタンに関する諸活動の実行力には素晴らしいものがあります
神様に照らされた人だと日頃から思い感謝しています
心から感謝を込めて カトリック飯田教会 山本安津子