ブダペシュトに恋して


匿名希望

久しぶりの海外旅行でした。今年の8月、私は大人の短い夏休みを利用して主人と二人でハンガリーへ行ってきました。その思い出話といいますか、旅の分かち合いを少しだけさせていただきます。

「何でハンガリー?」周りの人に行き先を伝えると必ず返ってきた言葉です。ハンガリーに行きたい、と強く望んだのは主人であり、彼曰く「ずっと憧れていた国で歴史にも文化にも強い興味があるからだ」とのことでした。反対する理由が一切見当たらない私は数年ぶりの海外旅行先をハンガリーと決めたものの「果たしてハンガリーはどこのどんな国?」という低レベルな認識から始まったのでした。皆さんはハンガリーに対してどのような印象をお持ちでしょうか。

旅は始まる前からワクワクドキドキするものです。修学旅行の事前学習さながら夫婦でハンガリー学習の日々を過ごしました。と言っても、私は「こんにちは」と「ありがとう」を覚えたくらいで、実際に勉強したのは、ほとんど主人の方でした。

いよいよ出発、空港にはいろいろな国の人々がいて、人間観察には絶好の場でした。ドバイを経由してハンガリーを目指したのですが、ドバイまではあらゆる最終目的地へ向かう旅行者が搭乗していたと思います。私たちの後ろに座っていたご婦人方はダブリンへ行くらしく楽しそうでした。それにしても長旅でした。ハンガリーは遠いです。ほぼ一日かかりました。

首都ブダペシュトの空港に到着したのは現地時間午後2時頃でした。日本との時差は約7時間ですが、今回は時差ボケを一切感じずに済みました。一階がお洒落なカフェになっている可愛らしいホテルにチェックインし、早速午後のペシュトの街を散策しました。幸い滞在中は晴天に恵まれ、中央ヨーロッパの広い青空の下で観光することができました。ただ、日本のような鬱陶しくなる湿気はないものの、午後の日差しはなかなかきつかったです。美しく青くはないけれど大きく立派なドナウ川、荘厳な建物である国会議事堂……今から150年前にブダとペシュトが合併してできた街ブダペシュトは世界遺産の街なだけあり、その地に足を踏み入れた瞬間に私たちの心を掴んでくれました。絵になる街並み、石畳の道、統一された高さの建物、真夏の夕方に外で飲み食いする人で賑わう飲食店……異国の地を五感で味わうことができるのは旅の醍醐味です。私はハンガリーの匂いを袋に入れて持ち帰りたいと本気で思いました。

一日はブダペシュトから電車で一時間ほどの所にあるエステルゴムという古都へ行きました。ちょうどカトリック教会の祭日(聖母被昇天祭)だったので、大聖堂にて枢機卿様司式のミサに与ることもできました。ハンガリーは人口の多くがキリスト教徒だそうです。またある日はブダとペシュトを結ぶ鎖橋を渡り歩き、ブダ側にあるお城からドナウ川の景色を眺めたりもしました。この鎖橋は、この夏行われたばかりの世界陸上2023でマラソン選手が往復走行した橋で、夜になるとライトアップされ、その夜景は「ドナウの真珠」と呼ばれています。とても素敵な真珠でした。ドナウ川にかかる別の橋を渡って隣国スロヴァキアにも足を踏み入れました。パスポートなしで隣国に入れるのもまたヨーロッパの魅力の一つです。

また、国の守護聖人である聖イシュトバーンのお祝いが迫っていた事もあり、各地でお祭りの準備があり、ある夜出店で買って食べた鹿肉料理は最高においしかったです。19世紀からある大きな室内市場にはハンガリー名産物(パプリカやフォアグラ、刺繍品など)がズラリと並びお土産選びには最適です。一度訪れればその雰囲気の虜になること間違いなしです。ハンガリーの代表的作家モルナール・フェレンツによる有名な児童文学作品『パール街の少年たち』を巡る旅も遂行しました。数々の有名な音楽家の生誕地でもあるハンガリー、街には彼らの像がいくつも置いてあり、観光客のフォトスポットになっていました。もちろんお酒やお食事も堪能しました。料理の味付けは日本人の口に合うものだと思います。

久々の海外旅行は遠い国への弾丸旅行でしたが、最高の思い出ができました。必ずまた訪れたい国、ハンガリー。Köszönöm szépen(ありがとう)!

 


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