エンパイア・オブ・ライト


映画は私たちにさまざまなものを与えてくれます。その映画館でも多くの人が働き、そこにはさまざまな物語があるのではないでしょうか。映画館を舞台にした映画はないかなと考えていたのですが、まさに映画館で働く人たちの映画「エンパイア・オブ・ライト」をご紹介します

1980 年代初頭、不況の嵐が吹き荒れるイギリスの静かな海辺のリゾート地、マーゲイトに地元に愛されるエンパイア劇場があります。この劇場に勤めるヒラリー(オリヴィア・コールマン)は、辛い過去を経験し、今も心に闇を抱えています。厳しい不況による社会不安の中、彼女の前に、弁護士になる夢を諦め、映画館で働くことを決意した青年スティーヴン(マイケル・ウォード)が現れます。

職場に集まる仲間たちの優しさに守られながら、過酷な現実と人生の苦難に常に道を阻まれてきた2人は、次第に心を通わせ始めます。黒人であることから大学入学をあきらめたスティーヴンにヒラリーは、「人に決めさせてはダメ。自分の望む人生は自分で決めるのよ」と語りかけます。

前向きに生きるスティーヴンとふれあいの中で、ヒラリーは生きる希望を見出していきます。しかし、時代の荒波は2人に想像もつかない試練を与えます。不況によって、移民に仕事を奪われたと、デモが起きます。劇場にいたスティーブンは、黒人排斥のあおりを受け、大ケガを負ってしまいます。

スティーヴのケガによって、心の闇に入り込んでしまったヒラリーは、エンパイヤ劇場で行われた「炎のランナー」のプレミアム上映会の席上、そうそうたる招待者の前で、自らの判断で舞台の上に立ち、決して口にしてはいけないことを多くの人の前で話してしまいます。

その後、2人はどうなったのか、ぜひ劇場に足を運んで観てください。この作品は年の離れた2人の男女の愛の物語だけをテーマにした作品ではありません。映画館を舞台にさまざまな困難に立ち向かいながら、人生とは何をと問う作品です。

中村恵里香(ライター)

2023223日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開

公式ホームページ:https://www.searchlightpictures.jp/movies/empireoflight

スタッフ

監督:サム・メンデス/製作:ピッパ・ハリス、サム・メンデス/製作総指揮:マイケル・レーマン、ジュリー・パスター/脚本:サム・メンデス/撮影:ロジャー・ディーキンス

キャスト

オリヴィア・コールマン、マイケル・ウォード、コリン・ファース、トビー・ジョーンズ、 ターニャ・ムーディ、 トム・ブルック、 クリスタル・クラーク
原題:Empire of Light/製作年:2022/製作国:イギリス、アメリカ/上映時間:115分/配給会社:ウォルト・ディズニー・ジャパン/© 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.


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