ゆめパのじかん


こどもの頃、なぜ毎日学校へ行って、決まった時間に決まったことをしなければならないのかと思ったことはありませんか? やらなければならないことをやるのは当たり前と親から教え込まれたような気がするのは、私だけでしょうか。そんな疑問を持ったまま大人になった私に、そうでない学校のようなものがあると教えてくれるドキュメンタリー映画はいくつかありますが、それはいわゆるフリースクールのようなものでした。今回ご紹介したいと思っている映画は、そんなフリースクールともちょっと違った川崎にある施設のお話です。

©️ガーラフィルム/ノンデライコ

2000年12月に川崎市議会で成立した「川崎市子どもの権利に関する条例」をもとに市民参画で作られた「川崎市子どもの夢パーク」は、1万㎡の広大な工場跡地に作られました。その敷地の中には、プレーパークエリア、音楽スタジオや創作スペース、ゴロゴロ過ごせる部屋などのほか、学校に行っていない子どものための「フリースペースえん」が開設されています。この通称「ゆめパ」は、乳幼児から高校生くらいまで、幅広い年齢の子どもがいつでも、無料で過ごせる施設です。子どもたちは思い思いに泥だらけになったり、走り回ったり、静かにパソコンに向かっていたりしています。

©️ガーラフィルム/ノンデライコ

ほんの少し前までは、不登校というと、親はなんとか学校に通わせようとしていましたが、最近ではちょっと事情が違うようです。子どもゆめパーク所長の西野博之氏は、「不登校っていうさ、なんか前例のない道を歩んでいるわけだから、今まで学校行って当たり前って言ってた時代に、学校行かなくても多様に学べるよって周りの大人は言ってくれるようになったけど。学校に行かない生き方の中で、子どもも親も身悶えしながら、なんかさ、自分なりの生き方を探してる。だから悩んでる子どもたち、ほんとに悩んでるなって思うけど、自分なりの答えを見つけていくプロセスってすんげえことだなと思うね」と語っています。

©️ガーラフィルム/ノンデライコ

©️ガーラフィルム/ノンデライコ

ではその悩んでいる子どもたちはどうかというと、確実に将来を悩みながらも見つめています。虫や動物全般が大好きで、敷地内でいろいろな虫を探し、探求しているリクトは、「最初は勉強し酔おうと思ってたけど、そんなばんばんやらされても、逆に覚えないとともうんだよね」と言っています。また、植物に関心があり、図鑑を見ながら植物観察をしているヒナタは「戦うのめんどくさいからな。めんどく さいからなあ、やっぱり戦うのってなあ」と言っています。

私たちが思う以上に子どもは冷静に学校や社会を見つめています。

もし私が何をしたらいいか分からなかった子ども時代にこんな学校があったらと思うばかりの施設の中で、日々成長し、前を見つめている子どもたちに会いに映画館に足を運んで観ませんか。

中村恵里香(ライター)

 

2022年7月9日よりポレポレ東中野ほか全国順次公開

公式ホームページ:yumepa-no-jikan.com

twitter:@yumepa_no_jikan

Facebook:@yumepanojikan

 

 

監督・撮影:重江 良樹/構成・プロデューサー:大澤 一生/編集:辻井 潔/音楽:児玉 奈央

制作協力:認定NPO法人フリースペースたまりば/撮影協力:川崎市、川崎市子ども夢パーク、公益財団法人 川崎市生涯学習財団、夢パーク支援委員会、ちいくれん(地域で子育てを考えよう連絡会)、風基建設株式会社

製作:ガーラフィルム、ノンデライコ/宣伝:ウッキー・プロダクション、リガード/配給:ノンデライコ

2022/日本/90分/日本語/カラー/ドキュメンタリー

助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会

推薦:厚生労働省社会保障審議会

 

 


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