少年時代に夜空に星を見たとき、寂しそうでもあり、いとおしくもあり、光でもあり、周りの闇の重さを引き立てるものでもある……そんなことを感じたことがあります。満天の降るような星を見たら、また違った印象になることでしょう。星は、アブラハムに主がその子孫となる民(神の民)の数の限りなさを譬えた象徴です。
無限に広がる世界と歴史の中には、やはり無数の人がいて、その顔と魂は、揺らめきながら煌き、互いにも反応し合っています。そこには無音のコーラスがあり、心の耳を開きさえすれば聞こえてきます。書かれ、知られ、語られる人の存在は、各国、各民族、各共同体でさまざまでしょう。知らない星(人)は、数限りなく、未知の闇から顔を表す星たちと、それらの複合的な聖座群……心のアンテナを向けさえすれば、そこから光が射し込んできます。見え隠れしている星たちを探り、いわば「AMOR星雲」までたどりつけたら本望です。
今回は、聖書の世界、歴史の世界、現代の世界に“心の望遠鏡”を一筋ずつ向けてみました。このような作業は、これからも多角的に続けてまいります。皆さまからも、常時、そのような人の“発掘”をお伝え願いたいと思っています(公募文も近日、別掲いたします)。さまざまな活動の関連で知り合った人々、旅先で出会った人々、本を通じて歴史の中から掘り起こしてみた人、メディアが伝えてくれた市井の人々についてなど、愛にあふれた紹介文や印象記を分かち合っていけたら幸いです。
インスブルックの山影に~~苦難の時代に新たな未来を拓いた人々